四柱推命旺

十干と十二支から解命を行う本格的四柱推命の専門サイトです。四柱推命の本質と解命方法を詳しく解説し、ユーザーの皆様の理解を深めていきたいと思います。

生剋名【偏印】について

生剋名「偏印」は日干を生じる五行であり、なおかつ陰陽の異なる干を指します。これも「官」や「財」と同様、陰陽の別なしにひっくるめて「印」と表現しますが、本来は陰陽の違いによって正と偏に区別されます。

偏印は日干を生じる五行で、なおかつ陰陽の同じ干を指すわけですから、日干が甲(陽木)であれば偏印は壬(陽水)。日干が丙(陽火)であれば偏印は甲(陽木)となります。

偏印の意義

印が我を生じることから父母にたとえられたことは印綬の項でお話しました。印には「お蔭(父母の)」という意味があり、また綬には「受ける」「いただく」といった意味があり、恩恵を受けるという意味で「印綬」と名付けられたという背景があります。

偏印も印綬と同様「印」として日干を生じる作用があることは同じですが、偏印の場合は陽なら陽、陰なら陰というように気が一方へ偏るため「偏印」と呼ばれます。この陰陽の気の違いによって作用にも若干の違いが生じてくるのです。

また偏印には、昔から吉神とされてきた食神を剋すことから、凶作用を引き起こすものとして考えられる傾向が今でもありますが、このような理解は正しくありません。

偏印の別名「倒食」「梟神」とは

日干が甲の場合、偏印は壬であり、食神は丙となりますが、この時偏印・壬は食神・丙を真っ向から剋す関係となるため、偏印を「倒食」と呼ぶことがあります。これはつまり、偏印が吉神とされる食神を剋すことにより、食神の喜が失われると考えらたからです。しかし実際には、もし命式において食神大過して忌神になるのであれば、偏印はむしろ吉神となるのです。

また、偏印が食神を制することから、「梟神(きょうじん)」と呼ばれることもあります。これは成長した「梟(ふくろう)」の雛が母親を食べるという言い伝えからきたもので、とても悪い意味が込められています。偏印を「梟神」と表現する場合は、偏印が食神をまともに剋す場合に多く用いられるようですが、いずれにしても「偏印自体に吉凶はない」ため、このような言葉は使わないほうが良いでしょう。

偏印の作用と性質

偏印には印綬と同様「日干を生じる」という作用があります。一般的に偏印は印綬よりも生じる力が強いと考えられています。ただしこれも、十干の特性によって違いがありますから、よく十干の性質を知った上で判断しなければなりません。

偏印の性質としてよく語られるのが、「ひねくれている」とか「臆病」、「嘘つき」や「腹黒い」といったものですが、このように生剋名だけでその人の性質を決めつけることは大きな間違いの元になるため注意が必要です。何度も言いますが、命式の様相によって偏印の良い面が出るか悪い面が出るかは変わるため、一概に決めつけることはできないのです。

印には「比劫を生じる」「食傷を剋する」「財から剋される」「官殺から生じられる」といった作用があり、これらの特性から印の喜忌両面の作用があらわれます。以下は偏印の事象を良い面と悪い面に分けて説明したものです。

偏印の良い面偏印の悪い面
余裕がある、謙遜、信用・信頼感がある、胆力あり、研究熱心、向学心、芸術への感心、風流、長寿 自己中心的、安易、責任転嫁、逃避的、臆病、厭世的、病弱、努力嫌い、悪知恵

偏印は概して印綬よりも生じるエネルギーが強いですから、上記のような事象も印綬より極端にあらわれやすいと言えるでしょう。ですからもし偏印が大過してなおかつ忌神となる場合は、性質面に「偏印の悪い面」があらわれやすいのです。

反対に偏印が命式にあっても、食傷大過や官大過などで印が喜神となる場合には、むしろ生じる作用の強い偏印を好む傾向があります。このような場合は「偏印の良い面」があらわれやすくなります。また偏印が忌神であっても、日干との関係が適切であれば悪い作用はほとんどあらわれません。

偏印の六神

六神とは「父、母、兄弟、姉妹、配偶者、子女」のことです。四柱推命では、生剋名にそれぞれの六神を当てはめて事象を占います。

偏印が象徴する六神は以下です

偏印が象徴する六神
男性・女性 母親、育ての親、援助してくれる人

なお厳密には母親は「印綬」に象徴されますが、印にまとめたほうがより実証的であるため、ここでは分けていません。

日干から見て偏印に当たる干

以下は日干に対して偏印に当たる干を表にしたものです。偏印は「日干を生じる五行であり、なおかつ陰陽が同じ」でした。生剋名を覚えるのが難しいと感じる方は、まずは五行だけで「日干を生じる干が印」という風に覚えると良いでしょう。

日干偏印に当たる干

偏印が喜神・忌神となる格局と判断

以下に、偏印が喜神となる場合と、印綬が忌神になる場合の格局と判断について記しておきます。これは印綬と同じです。

偏印が喜神になる格局と判断

  1. 命式が「普通格局」に分類され、なおかつ身弱となる場合
  2. 命式が「陽刃格」「建禄格」「月劫格」に分類され、なおかつ身弱となる場合
  3. 命式が「従旺格」「一行得気格」「化格」に分類される場合

偏印が忌神になる格局と判断

  1. 命式が「普通格局」に分類され、なおかつ身強となる場合
  2. 命式が「陽刃格」「建禄格」「月劫格」に分類され、なおかつ身強となる場合
  3. 命式が「従児格」「従財格」「従殺格」「従勢格」に分類される場合
※例外もありますので参考程度に御覧ください。