権力・地位を象徴する官の作用と働きについて
本日はあまり知られていない、『官』の働き・効用について解説致します。実は『官』は地位・権力を象徴する生剋名です。このため社会において権力者、経営者等地位の高い人や有力者の先天運には、必ずと言っていいほど有力な官が見られます。
よく『あの人は権力欲が強い』などと言いますが、これも官の作用です。つまり官がある程度強い人というのは、地位・出世・権力を欲する傾向があるということです。
ここでまずは、生剋名それぞれの気質・作用について見ておきましょう。
- 比劫が強いタイプ:自我が強く、自らの感情・達成感・やりがいへの執着が強い
- 食傷が強いタイプ:表現や自由への執着が強い
- 財が強いタイプ:成功や金銭への執着が強い
- 官が強いタイプ:地位や権力への執着が強い
- 印が強いタイプ:精神的な安定・満足への執着が強い
上記は極端な表現ではありますが、それぞれの生剋名については上記のような傾向があるということです。
【官】が有力な権力者・有名人
ここからは実際の命式を紹介し、官の作用についてさらに明らかにしていきますが、その前に『官が最も活きる』場合について解説しておきます。
『官が最も活きる』のは、官が喜神となる時です。普通格局であれば、日干が強く、官の力量も日干と同等がやや弱い程度。特別格局であれば、概して棄命従格であり、官が有力である場合等です。ちなみに従旺格の場合は官が忌神となるため、権力者や社会的に有力な地位をもつことは難しいと言えます。
なお日干が身弱であっても、大運・姓名構造によっては、官が喜神の働きをすることはよくあることです。
ビルゲイツの命式
アメリカの実業家で複数の企業の経営者でもあるビルゲイツの命造は以下です。
天干 | ? | 壬 | 丙 | 乙 |
---|---|---|---|---|
地支 | ? | 戌 | 戌 | 未 |
おそらく従殺格だと思われます。財(丙)も有力ですが、官(土)が突出して強いため、お金よりも権力や地位に関心があることが一目瞭然です。また従殺格の場合は官が喜神であるため、大運に喜神が巡る時期は最も『官が活きる』ことになります。ビルゲイツの命式は、月干に食傷(乙)に生じられた財の丙火があることが喜命の証です。
堀江貴文の命式
つづいて実業家のホリエモンこと、堀江貴文さんの命式を見てみましょう。
天干 | ? | 癸 | 庚 | 壬 |
---|---|---|---|---|
地支 | ? | 巳 | 戌 | 子 |
三柱判断ですが位相の高い先天運です。日干は癸水で、官の戌土が旺じる命造ですが、官が大過することなく巳・戌相生。また天干の並びは月干に印の庚、さらに子に通根した壬があり、日干が弱となることをうまく防いでいます。さらに日支は調候の役割もある財の火であり、財官相生の構成。時柱にもよりますが、日干と官の力量が適切な場合は、社会的に『有力者』となる可能性があります。
小泉進次郎の命式
若手ながら自民党の有力者である小泉進次郎さんの命造は以下です。
天干 | ? | 壬 | 壬 | 辛 |
---|---|---|---|---|
地支 | ? | 戌 | 辰 | 酉 |
小泉さんは日干・壬水であり、月支は木旺の辰です。官は死令ですが、戌・辰と有力な官が地支にあり、酉のおかげで戌・辰冲去しません(時柱構造にもよる)。また土->金->水と綺麗な相生構成となっているため日干が弱ることなく、特に火・土が巡る時期は位(地位)が上がることになります。もちろん権力への欲求も強いですが、印も天干・地支に通るため自分の精神的な満足度も重視するタイプです。
松本人志の命式
お笑い芸人ながらも吉本(お笑い界)の重鎮として多大な影響力と権力を誇った松本人志さんの命造はどうでしょうか?
天干 | ? | 甲 | 庚 | 癸 |
---|---|---|---|---|
地支 | ? | 寅 | 申 | 卯 |
松本さんは日干・甲木の月支・申月・金旺の生まれで官が旺じています。三柱での官の力量は11.7程度ですが五行中最も強く、それが月干・月支に存在することから、権力欲が非常に旺盛であることがうかがえます。
日干強弱は三柱では断定できませんが、比劫が三点あるため身弱であれば食傷や財、身強であれば印が『官を最も活かす』ことになりそうです。ちなみに松本さんが最も成功していた時期の大運は火・土旺運でした。
官の性情について
以上、官が有力となる命造(大運位相含め、官が喜神となる可能性のある命造)について見てきました。ちなみに官が強ければ強いほど権力欲や出世欲が強くなる?というわけではありません。ビルゲイツのような従殺格であれば官は強ければ強いほどその傾向がありますが、普通格局では以下のような性情となります。
普通格局の身弱で官が強すぎるということは、日干が弱すぎるということになります。この場合の気質は気力なし・気弱・臆病・怠惰・自責他責・ネガティブな傾向となり、むしろ出世や権力といったものに対して嫌悪感を抱くことがよくあります。
また官が強すぎる身弱の人は、世間体や周囲の目が凄く気になるタイプなので、そもそも人前に出ることや人の上に立つことが苦手です。これは『官の忌の作用』であり、『官の喜の作用』とは正反対の作用が出ることに注意してください。それでも内心は、権力というものに対して憧れを抱いているのかもしれませんが。
『官の喜の作用』があらわれると、その気質はリーダー的・勇猛・決断力がある・責任感がある・人をまとめたり、人の上に立つことが好きなどの傾向が出ます。クラスにも一人はこのようなタイプがいますが、それは官の喜の作用があらわれているためです。