歳運の影響力の見方~大運・年運・月運・日運の読み方の解説
今回は四柱推命における歳運の基本的な読み方について解説をしたいと思います。まずは歳運の意味と種類から解説していきたいと思います。
歳運の意味と種類
歳運とは、その者の運勢の流れをひっくるめて言う言葉で、大運・年運・月運・日運の四種類があります。厳密には剋運(2時間事の運気の流れ)も作用しますが、これは影響力が大変小さいため今回は省きたいと思います。
歳運の働きは以下です。
- 大運:10年毎の運勢で、最も強い影響力をもつ。大運は命式の月支から割り出します。
- 年運:流年運とも言います。その1年の運勢をその年の干支から占います。
- 月運:月毎の運勢です。その月の運気を月の干支から占います。
- 日運:日毎の運勢です。その日の運気を日の干支から占います。
歳運の種類は以上の通りです。この時非常に重要なのが、影響力の違いという視点です。すなわち、これら四つの運勢の影響力を同等のものとして見ると非常に複雑になるため、どのように運気を読んだらいいのかが分からなくなりますが、以下の原則を知ることで整理できるかと思います。
『歳運は、大きな時間を内包する運が最も影響力が強く、時間が短くなるほど影響力も弱まる』ということになります。つまり、その影響力は大運>年運>月運>日運となり、大きな運が小さいな運を包み込むようなイメージとなります。
そのため、例えば年運が喜神の年であっても、忌神の大運の元にあればそれは『悪い運のなかの小康』となります。反対に年運が忌神の年であっても、喜神の大運の元にあればそれは『良い運のなかの苦難の時』となり、大運によって運気や内容が大きく異なってくるのです。
大運の基本的な読み方
ここでは大運の出し方については省略します。自動鑑定ページで大運が表示されますので、自分の大運がよく分からないという方はそちらをご参照ください。
大運が最も大きな影響力をもつ上位の運勢ですので、その者の運勢を読む場合、まずは大運から読むことになります。原局と大運の作用という観点についても、まずは大運が原局に作用するため、大運の運勢動向から明らかにしなければ大きく間違えてしまうことにつながります。
大運を読む流れは以下となります。
- 大運の旺支を明らかにする
- 大運の干支と原局の合・冲関係を明らかにする
- 大運の喜忌を明らかにする
まずは大運の旺支を明らかにします。例えば大運の地支が申である場合、旺支は金となります。従格などの場合、この旺支によって命式が破格となるか否かが決まりますので、大変重要な項目です。また普通格局においても、喜神の地支なのか、忌神の地支なのかをまず明らかにします。
その後、干支と原局の合・冲関係を明らかにします。これは極めて重要な項目ですが、驚くべきことに多くの占い師がないがしろにしていることです。この合・冲関係によっては、喜神の干支が巡っても合によって喜が発揮されないことや、忌神の干支が巡っても冲によって逆に喜となることもありますので、読み間違えると大変なことになってしまうのです。
大運の読み間違いの多くは実はこれで、喜神の干支が巡っているのに喜とはなっていない事象を見ると、命式の読み方が間違っているのか?などと考えて元の判断を覆してしまったり、あるいは既に判断が間違っているのにこじつけをしてしまったりということが起きてしまうのです。これでは正確な判断ができるはずはありません。
ですから、原局と大運の作用を詳しく読んで初めて喜忌が明らかになるというわけなのです。さらに流年運の運気を読む場合、大運あってのものですので、いきなり流年運から入るととんでもない間違いをしてしまう可能性があることがお分かりいただけたでしょう。
天干 | 壬 | 庚 | 己 | 酉 |
---|---|---|---|---|
地支 | 午 | 子 | 亥 | 酉 |
これは私の命式です。私の現在の大運は【乙未】ですが、未は午と支合の関係となりますので、午・子の冲を解きます。未だけに注目するとそれは土なので忌神のように思われますが(私は土が忌神)、実は未によって喜神の午火と子水が復活するため、喜神の水と調候の火が活きた大運、つまり喜の傾向性ある大運となります。
年運の基本的な読み方
大運による喜忌が分かったら、そこからようやく流年運を読むことができます。ちなみに流年運は、元旦ではなく、毎年2月4日頃の寅月(立春)から開始します。
以下、分かりやすいように私の命式を元に解説していきます。
天干 | 壬 | 庚 | 己 | 酉 |
---|---|---|---|---|
地支 | 午 | 子 | 亥 | 酉 |
私の現在の大運は【乙未】であり、喜の傾向性があると解説しました。そこで次は、流年運による喜忌を見ていきましょう。以下に簡単に解説していきます。
- 2021年【辛丑】。丑は前半・水、後半・土の作用となります。大運【乙未】によって私の命式・地支は全地支固有根となりましたが、丑は未と冲であり、なおかつ酉と金局半合、さらには子と支合の関係ですので合・冲はなし。そのため丑固有の働きがあり、2021年後半は忌神である土の働きが強くなることが分かります。大運の未も土の働きがありますので、土が結託して金を生じます。流年の天干は辛金ですので、忌神の金も強まることにより、2021年後半は特に運気が低迷しやすく、やや苦心あり。
- 2022年【壬寅】。壬水・寅木ともに私の喜神の干支です。寅は原局の亥と支合ですが、同時に解冲した午火とも火局を形成するものですので、固有根とみなします。つまり寅は喜神運です。また天干の壬水については、こちらも去ることはないため2022年は私にとって喜の年であることが分かります。日干の庚金にとって木は財ですので、収入が増えるまたは安定することが予想されます。
- 2023年【癸卯】。癸水・卯木ともに喜神運です。卯は私にとって、四つの旺支である卯・午・酉・子が揃うため固有根。また卯木は木の旺支のため2022年より財運が活発化します。天干の癸水も木を生じますので、食傷の財源が効いており、これは新たな副業か何かで収入が増えることを暗示しています。五行バランスが良い時期のため健康状態も良く、土が強い現在よりもややスリムになっていることも予想できます。
このように、あくまでも流年運を読む場合は年運の干支のみで占うのではなく、大運と原局との関係を元にした上で判断を行います。そうでなければ、恐らく大きな間違いを犯してしまうことになるでしょう。なぜなら、『年運は大運の支配下にある』からです。
このため、常に大運の喜忌が最も重要であり、流年運はその次となります。ですから流年運が喜神であると言っても、大運の干支や旺支によっては全然喜とはならない場合や、反対に忌神の干支が巡っていても、大運の干支によっては強い発展運となることもあるのです。
月運について
さらにその年の中の月運についても知りたいという場合は、当然以上の原則にしたがい、大運と流年運の運気を知った上で、月運の喜忌の判断を行います。占い師によっては、月運なんてないと全く無視している方もいるようですが、とんでもないことです。
たしかに月運というのは大運と流年運の支配下にあるため影響力は小さなものですが、それでも確実に月の干支によって運気の盛衰が生じるため、月運を知ることによって年内における運気の良い時期と悪い時期が分かるのです。
そしてもし運気の良い時期と悪い時期が分かれば、『今はすごく辛い時期だけど、秋頃には喜神が巡るので状況が良くなるはず。そうであれば諦めずに頑張って将来の運気をさらに良いものにしよう』といったポジティブな判断もできるようになるのです。大運・年・月の干支が常に巡っていることからも、同じ状況が長くは続かないことが分かるでしょう。
ちなみに月運の場合、合・冲を読むことは極めて複雑となりますので、干支の喜神・忌神のみを頼りにすると良いでしょう。私の場合は、概ね冬(水)と春(木)に喜の運気が巡り、夏(火)と土旺や秋(金)は壁にぶちあたることが多くなります。大体、一年のうちで物事がスムーズに進む時は良い運気の時です。
ただし、悪い月運だから必ずしも悪いことが起こるなどとは考えないようにしましょう。気が滅入ってしまいますし、何よりも悪い運気がさらに悪いものになっていきます。忌神の月だから様々なことに対していつもより注意し、その上で精一杯の努力をしていけば、悪い運気も自然と良くなっていくものです。
日運について
私は日の運気についても常に意識しています。その主な理由は、日の運気によって自分の精神状態や周囲の環境がどのように変化するのかを観察し、命式の解命に役立てたいということ、また四柱推命における洞察力を高めたいという気持ちがあります。
運気の原則を知ると、日の運というと非常に小さいように思われますが、日々意識をしていると喜神の運気と忌神の運気の日とでそれぞれ共通した出来事が起こるなど、大変興味深いです。
私の場合、水の日は主にそれまでの悩みや問題が解決したりしやすく、精神的にも力強い時が多いです。反対に忌神の土の日は、何となく体が重い感じがし、仕事などは問題が出たり停滞しやすい傾向があります。もちろん先入観がある可能性も完全に排除できませんが、できる限り喜神・忌神の先入観を除いた上で、客観的に事象を判断するようにしています。
なお日運について、合・冲関係を読むことはあまりに複雑すぎるため、月運と同じく喜神・忌神の干支で読むことをおすすめします。ただし日運は、原則として月運の支配下にあることを忘れてはいけません。このため2月の喜神の日と、10月の喜神の日は全く内容(気の巡り)が違う可能性があるのです。そして月運は、やはり年運の支配下にあります。
喜神・忌神を正確に出すことの重要性
ここまで読まれた方はもうお気づきだと思いますが、大運や流年運を正確に知るといっても、それは命式の喜神・忌神が正確に分かっていなければ全然意味がないことになります。むしろ喜神・忌神を逆に捉えてしまうという可能性もありますので、まずは原局における喜神・忌神を正確に取るということが歳運を読む上でも極めて重要となるのです。