四柱推命旺

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波乱重々となる『破格』や『変格』とはなにか?小林麻央さんの命式から破格の時期を読む

特に四柱推命を囓ったことがある方であれば、『破格(はかく)』という言葉を聞いたことがあるかもしれません。しかしこの破格について、実際問題として具体的にどのような格局でどのように起こるのか?ということをしっかりと理解している人は少ないことと思います。

そこで今日は、この『破格』について、それが起こる格局と条件、さらには破格となる時期を解説してみたいと思います。また実例として、従財格だと思われる小林麻央さんの命式を例に取りたいと思います。

『破格』とは、従格における成立条件が破れること

既にタイトルで説明していますが、『破格とは、従格における成立条件が破れること』に他なりません。このため、格局がそもそも従格でない場合は、破格は存在しないのです。

そこでどんな格局に破格があるのかというと、以下になります。

  • 従旺格
  • 従児格
  • 従財格
  • 従殺格
  • 化格(木・火・土・金・水)
  • 一行得気格(木・火・土・金・水)

となります。今回の記事では、それぞれの格局の成立条件については解説しません。それぞれの格局の詳細につきましては、既にアップした別の記事をご参照いただくようお願い致します。

『破格』とは、歳運によって、以上の格局の成立条件が破れることです。つまり、大運もしくは流年運において、その格局の成立根拠が崩されるような支が巡る時期が破格期となるのです。以下に、四つの従格において破格となる生剋名を記述します。

  • 従旺格:官が巡る時期に破格となる
  • 従児格:印もしくは比劫が巡る時期に破格となる
  • 従財格:印もしくは比劫が巡る時期に破格となる
  • 従殺格:印もしくは比劫が巡る時期に破格となる

このようになります。つまり、日干が極めて強い従旺格では、その成立条件は日干が極めて強いことです。しかし歳運に日干を剋す官の地支が巡ることによってこの成立条件が破れるため、『破格』となるのです。

そして、従児格・従財格・従殺格という極端に日干が弱い格局の場合、その成立条件は印や比劫がなく日干が極めて弱いことです。しかし歳運に日干を生助する印や比劫の地支が巡ることによってこの成立条件が破れるため、『破格』となるのです。

『破格』となり『変格』することによって喜神と忌神も変化する

格局が破格になるとどうなるでしょうか?歳運によって格局の成立条件が破れてしまったわけですので、当然従旺格であっても破格になれば従旺格としてはいられない状態となります。

すると『変格』という作用が起こります。すなわち、その歳運の天干地支と原局の構造から別の格局へと変化するのです。例えば、従旺格であれば概して陽刃格や健禄格。また従財格であれば、普通格局の身弱となりますので、正財格や偏財格等となるでしょう。

単に『破格』を知っている方は多いと思いますが、この『変格』の作用を知らなければ当然歳運の喜忌をうかがうことはできませんので、この『変格』は極めて重要なポイントです。

そして格局が変化するということは、すなわち喜神と忌神もその格局にあわせて変化するということになりますので、従格の場合は普通格局よりも歳運の読み方が当然複雑となるのです。

たとえば日干が丙火の従旺格の場合、歳運に官の旺支が巡ることによって命式が破格となり、陽刃格に変格したとします。すると陽刃格では、喜神が食傷・財・官、忌神が印・比劫となりますので、元々比劫が極めて強い従旺格の場合、その時期は極めて波乱重々となるでしょう。なぜなら、波乱の度合いは忌神の五行の強さに比例するためです。

このように解説してもまだよく分からないという方もいると思いますので、次はいよいよ実例を示したいと思います。

従財格における波乱期の解説~小林麻央さんの命式より

早速ですが、以下に小林麻央さんの命式を示します。小林麻央さんについては皆さんもよくご存じのことと思いますが、2017年に乳癌によって惜しくも34歳という若さでなくなってしまいました。

天干
地支未(土旺)

以上が小林麻央さんの命式三柱です。時柱が分からないのになぜ従財格だと言えるのか?ということについては、後ほど説明する大運の動向から判断しました。

原局においては日干・乙木に対し、月支は未月・土旺ですので、財が月令を得る命式構造です。また天干の壬水は従財格の成立条件に反するものですが、よく見ると月干には丁火があり合去しているため、仮の従財格になるのではないかと考えています。

そしてもし従財格に分類されるのであれば、生まれた時刻は丑刻・辰刻・巳刻・酉刻・戌刻のいずれかであるはずですが、いずれにしても五つの刻(10/24時間)で従財格となるため、小林さんが従財格である可能性はかなり高いと言えるでしょう。

さらに、小林さんの大運をご覧ください。

  1. 第一運【丙午】火旺運:4歳~14歳
  2. 第二運【乙巳】火旺運:14歳~24歳
  3. 第三運【甲辰】木・土旺運:24歳~34歳
  4. 第四運【癸卯】木旺運:34歳~44歳(この大運の開始後間もなく死亡。)

以上の大運の流れを見てみると、第一運に【丙午】という極めて火が強い大運が巡っているのです。つまり、もし食傷の火が忌神であるのであれば、むしろこの時期に病難が発しているはずであり、運勢についても波乱重々となるはずですが、経歴を見ると全然そんなことはないようです。

また、第二運においても火が巡っています。しかしこの時期は、『フジテレビ系「めざましどようび」のお天気キャスターを務める』など、テレビで元気よく活躍していた時期となりますので、火はどうやら忌神ではないようです。

そこで死亡した時期の大運をうかがうと、なんとそれは【癸卯】の木旺運です。つまりもし普通の財格であれば大きな喜神運であるはずの水と木が巡っているのです。しかし事象はどうかというと、既にご存じのようにその少し前から乳癌を煩い、わずか34歳という若さで亡くなってしまいました。

つまりこれは何を示しているのかと言うと、小林さんの忌神が木であり、格局が破格となっていたということに他なりません。

そして小林さんの命式の場合、破格期は、従財格から偏財格もしくは食神格へと変格します。

小林麻央さんの破格と変格はいつから始まった?

それでは、小林さんの格局が従財格である場合、破格期はいつでしょうか?それを以下に示します。

  • 地支に寅・卯・辰が巡る木旺の時期。ただし辰は木旺の時期と土旺の時期があり、破格となるのは木旺の時期のみ
  • 地支に亥・子・丑が巡る水旺の時期。ただし丑は水旺の時期と土旺の時期があり、破格となるのは水旺の時期のみ

となります。これを元に小林さんの大運を読んでみると、24歳からの大運に【甲辰】があらわれているため、この時期のどこかから命式が破格となっていることが分かります。

地支・辰の時期は前半の4年間が木旺、後半の6年間が土旺となるのですが、小林さんの大運は逆行ですので、この時期も逆転させなければいけません。すなわち、24歳(2006年)~30歳(2012年)が土旺。30歳(2012年)~34歳(2016年)が木旺の時期ですので、破格のスタートは2012年からということになります。

そこで小林さんの経歴をうかがうと、ウィキペディアには『長男の出産から約1年後に乳癌の兆候が確認されていた。しかし麻央本人が早期に対応できなかったため、後に重篤な症状を引き起こすに至る。』とあります。これは2012年7月頃の出来事ですが、驚くべきことに、ちょうど破格の開始時期と重なっているのです。

さらには、『2014年2月に人間ドックを受けた際、乳房にしこりが発見された』とあり、その後の流れについては皆さんご存じの通りです。

つまり2012年から小林さんの格局は普通格局となっており、喜神は水・木、忌神は火・土・金となっていました。大運には【癸・卯】巡るも、当然のことながら原局において火・土が極めて強いため、大運の木は日干を助けることができません。

そして流年運【丁酉】という金の忌神運である2017年の6月、小林さんはついに息を引き取りました。ちなみに乳癌は主には水の五行に象徴される病気であり、これは喜神の水がひどく欠乏していることを象徴していました。

なお小林麻央さんについては、姓名にも強い凶暗示があらわれており、虎の舞でも解説しています。興味のある方はこちら【吉名なのに病難・災難に襲われるのはなぜか? - 先天運から最良の姓名を導きだす方法】もお読みいただければと思います。