四柱推命旺

十干と十二支から解命を行う本格的四柱推命の専門サイトです。四柱推命の本質と解命方法を詳しく解説し、ユーザーの皆様の理解を深めていきたいと思います。

印綬・偏印の作用と性質傾向

かなり前回の投稿から時間が空いてしまいましたこと、お詫び申し上げます。なかなか虎の舞のほうの命名作業などで忙しく、時間が取れないという言い訳をさせてください。

さて、久々の更新となりますが、今回は生剋名から作用・性質傾向を解説する記事として、最後に『印』を取り上げたいと思います。

ご存じのとおり、印は日干を生じる生剋名でありますが、印綬と偏印があり、それぞれ作用が異なって参ります。厳密には、日干の五行によっても作用は大きく変わるのですが、今回は生剋名にポイントを当てた記事ですので、五行による違いについてはまた別の機会に解説したいと思います。

印の作用には、日干を生じる・食傷を剋す・財から剋される・官から生じられる・印を助けるといった5つの作用があり、これらの作用が印の特質や性質傾向としてあらわれます。それではまずは、印の基本性質について見ていきましょう。

印綬と偏印の違いと偏見について

日干とは、命式の中心であり、その者の生命エネルギーの核(自我)ですから、印は日干の強弱を語る上では大変重要な存在と言えます。印には、陰陽が相交わる印綬と、陰陽が同じ偏印とがあり、一般的には印綬よりも偏印のほうが生じる力が大きくなると言われています。しかしこれは、日干の種類によって大きく変わってくるため、全く当てにならないものなのです。

たとえば、日干・丁に対する甲木は印綬ですが、甲木は発火作用があるため生じる力は大。対して、日干・丁に対する乙木は偏印ですが、乙木は湿っているため発火作用は弱く、生じる力は小。このようなことなのです。

そして、よく四柱推命の書籍やサイトなどを見ていますと、『偏印が強すぎると偏屈・頑固』とか、『印綬は喜だが、偏印は忌』のような記述が見られます。しかしこれはまさに偏印に対する偏見であり、おそらくは偏印の『偏った』という文字が一人歩きしたに過ぎないと言えるでしょう。偏印に偏った力があるわけではなく、単に陰陽が偏っているため、偏印と呼ばれるだけなのです。

つまり、偏印があるとかないとか、偏印が強いとか弱いとか等、印を局所的に問題にするべきではなく、命式全体の様相で判断するべきだと考えます。実際には、偏印一つで性質傾向が決まったり、偏印が単に多いから凶運となったりするわけではありません。偏印が多くても身弱となる場合、つまり偏印が喜神となることも多いからです。

印の基本的な作用と性質について

それではまずは、印の基本的な作用と性質について簡単に解説をしておこうと思います。印綬・偏印は生剋名ですので、日干と印の関係が重要となります。印には、日干を生じる・生み出すといった基本的な作用があります。

以下は、印の基本的な作用・働きです。

  • 印には、日干のエネルギーを高める働きがある(印は日干を生じる)
  • 印は、精神活動を象徴する
  • 印は、思念・思考を象徴する
  • 印は、知識・勉学・好奇心など、インプットを象徴する
  • 印は助けを意味し、印が喜神となる場合は人生において援助に恵まれることを意味する

印の働きのなかで最も重要なことは、『印は精神活動を象徴する』という点です。このため印の有様は適職に大きく関わってきます。この点は最後に少しだけ説明致します。

次は、印の基本的な性質傾向を見ていきましょう。

印のバランスが適切な人の性質傾向

一概に印があると言っても、印の有り様でその印がどのような作用をするか、ということは大きく異なってきます。そしてその違いを決定するのが、印が喜神となる忌神となるかです。ただし、印が忌神であっても、印のバランスが適切な人も多くいますので、ここでは『印のバランスが適切な人』として説明をしていきます。

以下は、命式に適度な印をもつ、印のバランスが良いタイプの性質傾向です。

  • 向上心や向学心が強い
  • 適度に思慮深く、頭の回転が速い
  • 性格が素直で控えめである
  • 芸術を楽しむ心・余裕がある
  • 健康的で長寿

となります。つまり、印は日干を生じる生剋名ですので、印が適切であるということは、日干のエネルギーが適切に保たれているということになります。このため性格や思考も健全となる傾向があるのです。

ちなみに印が適切とは、身弱であれ身強であれ、命式に1~2つの活きた印があり、なおかつ日干に有情であることです。日干に有情であるとは、日干の近くに冲・剋去しない印が存在するという意味です。印を生じる官があるとなお良いです。

印のバランスが悪い人の性質傾向

次は、印がアンバランスなタイプを見てみましょう。以下は、印が強すぎるタイプの性質傾向です。

  • 頭の回転は速いが、考えすぎる・悩みすぎるところがある
  • 思考がネガティブに陥りやすく、落ち込みやすい
  • 性格が素直でなく、ややひねくれたところがある
  • 自己中心的な考えになりやすく、好き嫌いが激しい
  • 逃避的・厭世的
  • 病弱・短命となる傾向あり

印の大過によって、食傷も無力化し、日干のエネルギーも大過します。これはつまり、排泄(食傷)をする必要があるのに出来ない不健康な状態であり、以上のような事象を伴うのです。ただしもちろん、歳運に印を弱める干支が巡る場合は悪い状況が改善されます。以上はあくまでも、原局における性質傾向となります。

ちなみに印は精神的な活動を象徴するため、うつ病等の精神的な病は印が関係している場合がほとんどです。うつ病は概して印の大過から起こります。

また、印が全くない場合はどのような性質傾向になるかというと、

  • 考えなしに行動する傾向
  • 全く悩まない反面、思慮が浅いため失敗が多い
  • 落ち着きがなく、持続力がない
  • 病弱・短命となる傾向あり(日干弱の場合)

となります。思考やインプットを象徴する印が全くないため、当然のことながら思慮が浅い傾向となります。このため行動的ではあるのですが、失敗が多くなりがちとなります。また、印がないことで官が直接日干を剋すため、身弱の場合は病弱となります。このため印が全くなくても、身強で比劫に力があり、なおかつ食傷と財が適切であれば悪いことにはなりません。

印と母親との関係

印は日干を生み出すという作用から、古来より『印は母親』を象徴するといわれています。印綬が母親だという説もありますが、実際には印綬・偏印ともに母親を象徴します。

印が母親を象徴するため、印のバランスが悪い人は母親との関係が悪かったり、母親との縁が薄いケースが多いようです。たとえば、

  • 印が無力である場合は、母親との縁が薄い
  • 印が大過する場合は、過保護や、母親の愛情がかえって災いとなる
  • 印が大過して財(父親)がない場合は、母子家庭、または母親が権力を握る家庭となる
  • 印のバランスが良い場合は、母親の教育や接し方が適切である

というようなことですね。しかしこれらは、原局のみではなく、大運も絡めて判断を行う必要があるため、安易な判断は禁物です。たとえば、印が全くなくても、印が巡ることによって状況は変わりますし、その逆も然りだからです。このため、参考程度に見ていただくと良いでしょう。

印と職業について

命式から明確な適職を見つけることは大変難しいですが、印は精神活動や思慮深さを象徴するため、印の弱さや強さで向いている職業や向いていない職業がある程度分かります。

たとえば身弱で印が全く無い人は無思慮・短慮・性急な傾向があるので、慎重さや思慮深さが要求されるような職業は向いていません。たとえばパイロットや人の命に関わるような手術を行う医師、また高度に専門的な技術職や学者などです。おそらく、印がない人はそもそもこれらの職業に関わりたいとは思わないでしょう。また、印がない人は芸術にも関心を示さない傾向があります。

印が適切な人はどのような分野でもそつなくこなす頭の良さがありますが、特に探究心があるので学問・技術系に向いていると言えるでしょう。物事を深く追求することが好きなため、努力を続けていけば必ず頭角をあらわします。

印が強烈に強いタイプは芸術家や占い師、思想家等に多く、それは印が思念を象徴するためです。器用なタイプではありませんが、これと決めた一つのことに没入できる高い集中力と思考力があるため、大運に恵まれればそのような方面で大きく成功することも可能となります。また、思考が緻密なため、膨大な知識を必要とする専門的な技術職等にも向いています。一つを極める職人気質のタイプです。