四柱推命旺

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命式実例解説~財が大過する財多身弱の運勢

今回は財が大過する財多身弱の命について解説をしたいと思います。四柱において財干に力があると、財運が強いと勘違いしている方も多いのですが、財運の強さは常に『日干と財干の力量におけるバランス』です。つまり、財干が強いから財運が強いというわけではなく、日干と財干の力量が等しいと財運が強い、と判断できるわけです。

このため、日干と比較して財が強すぎても弱すぎても財運が弱い傾向となります。なぜなら、日干が強いのに財干が弱ければ当然財を剋しすぎる傾向(常に収入少なく、また浪費傾向)となりますし、日干が弱いのに財干が強ければ財に負ける傾向(財を管理する能力が乏しく、財が身に余る)となるからです。

ただし、日干と財干のバランスは、大運も含めて見なければいけません。元々は日干と比較して財干が大変強い場合でも、大運で日干の力量が財干と同程度になるのであれば、それは財旺の相です。その例としては、ビートたけしさんやロシア大統領のプーチンさんなどがいますが、ここではたけしさんの命式を見てみましょう。

日干・丁火であり、月支は丑月・水旺の生まれです。水旺の生まれですが、ご覧のように金の干支が多く、金は三柱で約15程度の力量があります。対して、日干の火は2~3程度ですので、明らかに身弱の財大過となっています。

もちろん先天運だけを見ると、財運の弱い命だ!となるのですが、大運も見なければ財運の善し悪しは分かりません。そこでビートたけしさんの大運を見ると、36歳から【乙巳】の火旺運が巡っています。この頃より日干のエネルギーが8~10程度となるため、財の力量に近づいている上昇運であることが分かります。

そしてその次の46歳からは【丙午】が巡り、この時日干のエネルギーは約18程度。日干と財のエネルギーバランスは、拮抗するよりもやや日干が強いくらいが最上となりますので、18(日干):15(財干)となり、これは財旺の時期です。※ただし、時柱が不明ですので厳密な数値ではありません。時柱によっては、【乙巳】の方が財運が強い時期となる可能性があります。

財多身弱の著しい例

しかし、先天運において普通格局の財多身弱であって、なおかつ大運にも強い財が巡ってくるとすれば、それは財に困窮する波乱の命と見ることができます。

財多身弱にして大運に忌神が巡る人の運勢は概して財運や人運に恵まれず、寂しく貧しい生活を送る傾向があります。事象としては病弱・財浅・苦労の多い運勢となりやすい傾向性ある先天運となります。

以下は、先日運命波乱・病弱多難だということで改名依頼をいただいた方の六字(時柱不明)です。ご本人いわく財運がなく、鬱・パニック障害・胃の不調・不眠症・頭痛・不安症であるとのことでした。

日干・庚金であり、月支は辰月ですが木旺です。地支に寅・卯・辰の方合が揃い、財干の木が大過していることが分かります。天干の庚・乙は木旺なので化金できずに合去します。日干の金はこの状態で約4、対して財の木は約30と、財干大過しています。

時柱不明ですので従財格となる可能性もあるのですが、お知らせいただいた事象から普通格局の正財格に分類される可能性が高い命式です。

なぜなら、従財格となる場合は、財が用神・喜神となるため、財に恵まれる傾向性となるためです。ちなみに従財格の場合は、日干と財干のバランスは大きく財干に偏るものの、財干が強ければ強いほど財運も強まる、といった傾向となります。この点は、普通格局と全く別の視点が必要となります。

なお上記の命式を普通格局と判断した理由として、鬱・パニック障害・不眠症といった木の五行に関わる忌象があらわれている点も考慮しました。それは木が神経を象徴するためであり、木が特に大過して忌神となる場合においては、神経症的傾向・不眠症・うつ病といった症状があらわれやすいためです。

日干・庚金の財大過の命ですので、気質はせっかちで荒っぽい傾向となります。また、木は脳を象徴する五行としても知られており、概して神経質で過敏、怒りっぽい衝動的な傾向となるものです。

財多身弱の場合、大運に財の地支が巡ると困窮を極めることあり

当然のことながら、普通格局の財多身弱の命にとって最も恐れるのが財干です。このため、大運や流年運において財および食傷が巡ることを最も忌み、そのような時期は財がさらに大過するため、往々にして苦渋の生活を強いられることになります。

先ほどご紹介した命式の方は、やはり生活が苦しく現在の境遇をどうにか変えたい、ということでご依頼をされたようですが、その大運をうかがってみると、やはりこれまでに財・食傷・官といった忌神運が巡り、さらに流年運において食傷が巡り困窮を極める、といった流れとなっていました。

なお財干というと、財運のみを象徴する干のように捉えられがちですが、財干の事象としては以下のようなものが関係してきます。

喜の作用忌の作用
気質行動力と社交性がある引っ込み思案で臆病な傾向
財運・金運良好貧しい
仕事運充分な収入があり、仕事への満足感が高い状態収入が少なく、仕事への満足感が低い状態
対人・恋愛運良い出会いがあり、人間関係もスムーズ別れやゴタゴタが多い
精神状態精神が安定し、行動力にあふれる精神が不安定となり、恐怖心や猜疑心が出やすい

単純には以上のような事象があらわれやすいと見ますが、これも日干の種類、それから他の干の力量やバランスに大きく左右されますので、参考程度にご覧ください。

また、今回紹介した命式のように先天運に大きな偏りがある場合は、姓名にも強い凶暗示があらわれている傾向があるのですが、やはりその方は姓名も先天運を暗示するようにとても悪い状態でした。ちなみに財多身弱にして財の方合があるなど、財干が極めて強い場合は、大運の動向に関係なく姓名には財干を入れない、ということが吉です。