従児格(じゅうじかく)の成立条件
今回は特別格局の「従格」の一分類である従児格の成立条件について解説していきます。従格には、大きく分けて以下の2分類があります。
- 日干が極強の状態であり、他の弱いものを従わせる(従旺格)
- 日干が極弱の状態であり、他の強いものに従う(従児格・従財格・従殺格・従勢格)
なお「従児格」とは、「従食傷格」と同じものです。食傷は子女を指すことから、「従児格」と呼ばれています。それでは早速、従児格の成立条件について見ていきましょう。
従児格の成立条件について
従児格にも従旺格と同様、厳然とした成立条件があります。ただ単に「食傷が大過していて、日干が極弱だから従児格だろう」という判断では、大きな間違いを犯す可能性がありますから、この条件は大変重要になります。
- 食傷が月令を得ている
- 食傷の五行が非常に強力であること
- 印が全くないこと
まず1の「食傷が月令を得ている」は絶対条件です。このためいくら食傷が大過していても、食傷が月令を得ていない命式は従児格とはなりません。
2の「食傷の五行が非常に強力であること」も重要です。たとえば食傷と官が混在・対立するような命式は、たとえ食傷が月令を得ていても従児格とは判断できません。なぜなら、食傷が官によって弱められてしまうからです。
3の「印が全くないこと」は、印は食傷を剋すためです。このため有力な印が一つでもある場合は、従児格とはなりません。ただし従旺格の官と同様、もし印があっても合・冲により無力となる場合は、従児格(仮)となる可能性があります。
これらの条件により、誰でも従児格を見極められるようになります。次は実際の従児格の命式を見て、さらに理解を深めていきましょう。
従児格の命式判断例
以下の命式をご覧ください。
天干 | 癸 | 壬 | 甲 | 癸 |
---|---|---|---|---|
地支 | 卯 | 午 | 寅 | 卯 |
日干は壬水であり、月支は寅の木旺の生まれです。つまり食傷の木が月令を得る命式であり、条件1をクリアしています。また四柱を見ますと、寅一支、卯二支、天干にも甲木ありと、食傷の木が大変強力であることが分かります。
ただ以上の命式では、午・寅の火旺が成立しており、その分木のエネルギーが減じています。ただし、火の財がある程度強いことは従児格の成立を妨げるものではありません。むしろ従児格は、財があった方が良命だと言われています。
そして、壬水に対する印である土が蔵干含め一切ありません。このため第三の条件もクリアしており、すなわち従児格だと判断できるわけです。解命結果は以下です。
- 日干: 壬水
- 格局: 真の従児格
- 日干の強弱: 極弱
- 用神: 陽木
- 喜神: 木・火・土
- 忌神: 金
- 閑神: 水
なお従児格は、歳運で有力な印が巡ってくると命式が破局となります。命式が破局となると、一転して木が忌神となるため、その時期は大きな波乱を意味します。このあたりは大運の読み方で説明していきます。
従児格の場合、用神は食傷の陽干を取ります。喜神は食傷・財・官。忌神は印となります。また比劫については、用神の食傷を生じる作用があることから、閑神となります。
仮の従児格について
ここでは、印があっても従児格が成立する命式について見ていきます。以下の命式をご覧ください。
天干 | 甲 | 壬 | 辛 | 丙 |
---|---|---|---|---|
地支 | 辰 | 寅 | 卯 | 寅 |
同じく日干・壬であり、地支に寅・卯・辰の木の方合が完成しており、木のエネルギーが強力です。しかしながら、月干に辛の印があり、従児格の成立を妨げているように見えます。
しかし、辛・丙は合去するため、印は原局においては無いことになりますから、従児格成立となります。とはいえ、印が合によって去っている命式ですので、真の従児格にはなりません。仮の従児格となります。
- 日干: 壬水
- 格局: 仮の従児格
- 日干の強弱: 極弱
- 用神: 陽木
- 喜神: 木・火
- 忌神: 金
- 閑神: 水・土
こちらの命式が先ほどの真の従児格の命式と異なる点は、財の火がないため官の土が閑神になるという点です。またこの仮の従児格の場合、辛・丙の合が解かれる場合は、破局と同様の作用を生じることになります。
従児格の用神や喜神の取り方については、用神取得のページで詳しく解説したいと思います。