四柱推命旺

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従旺格(じゅうおうかく)の成立条件

先日の化格に引き続き、今回は従旺格の成立条件について解説していきます。化格も従旺格も特別格局に分類されるものですが、従旺格は化格よりもメジャーな印象があるかと思います。このため従旺格については、四柱推命の関連書籍にもよく出てきます。

しかし実際には、プロの四柱推命家でも、従旺格の判断を曖昧にしていることがよくあります。例えば、「日干が月令を得て、四柱に印や比劫が多いから従旺(だろう)」というように、その成立条件がしっかりと語られず、半ば直感的に判断している方がよくいるのです。

しかし、実際には「日干が月令を得て、四柱に印や比劫が多い」従旺格的命式でも、別の格局に分類される場合がよくあるものです。そして別の格局であるならば、用神も異なり、喜神・忌神は概して逆転しますから、当然様々な面で判断を誤ってしまうことになるのです。そうなると、歳運と事象が合わず、合わない理由を生剋名や十二運のせいにしてみたり、いわば判断を曲げてコジツケなくてはならなくなるでしょう。

このため、従旺格を正確に定めることは大変重要です。私もかつては従旺格の判断を曖昧にしていた時期がありましたが、それでは人の命運を本当に知ることはできず、当たるも八卦あたらぬも八卦の状態でした。その中で少しずつ研鑽を積み、ようやく従旺格の判断ができるようになったというわけです。

従旺格の成立条件について

まずは従旺格の成立条件を以下に示します。

  1. 日干が月令を得ること
  2. 有力な官殺が一点もないこと
  3. 印が必ずあり、印と比劫が強力なこと

以上の3つが、従旺格が成立するための条件です。その理由を順番に説明していきます。

1の「日干が月令を得ること」は最低条件です。「従旺」というのは、「旺に従う」という意味ですので、日干が必ず旺でなければなりません。このため、月支が印旺の場合は従旺格にはなりませんので、注意が必要です。プロでもこの間違いをよくしていますが、印が月令を得る場合を従旺格と判断すると、必ず用神を取り間違えることになってしまいます。

2の「有力な官殺が一点もないこと」は、もし有力な官殺があると、官殺が比劫を剋すことにより、従旺格の前提条件である「極旺の状態」が崩れるためです。ただし気をつけなければならないのは、「官殺があっても従旺格が成立する場合がある」という点です。これは、官殺が合や冲によって去となる場合ですが、これについては少しややこしいので命式例で解説致します。

3の「印が必ずあり、印と比劫が強力なこと」も最低条件です。このため、日干が月令を得て、比劫が重々にあっても、印がなければ従旺格にはならないということです。なぜかと言いますと、印は比劫を生じるものであり、これによって日干が「極旺の状態」となるためです。反対に言うと、「印がない命式は極旺ではない」ということになります。

以上で、どのような命式が従旺格に分類されるのかが明確になったと思います。次は、実際に従旺格となる命式を見て、さらに理解を深めていきましょう。

従旺格の命式判断例

それではまずは、従旺格と判断できる命式から解説していきます。

天干
地支
  • 日干: 丁火
  • 格局: 真の従旺格
  • 日干の強弱: 極強
  • 用神: 丙火
  • 喜神: 火・木・土・金
  • 忌神: 水

上記の命式は、先ほどあげた成立条件をすべて満たしているため、従旺格となります。すなわち日干が月令を得、官殺が一点もなく、なおかつ印があり、印と比劫が強力です。月干に財の辛金がありますが、これは従旺格の妨げにはなりません。しかし、財が痛恨するなど有力になりますと、従旺格は成立しません。

また、この命式のように成立条件が完璧に揃っている従旺格を「真の従旺格」と言います。

従旺格とは判断できない命式

以下は、さきほどの命式の時柱を少しずらしたものです。先ほどは昼の火の刻の生まれでしたが、水の刻の生まれである場合は従旺格とはなりません。

天干
地支
  • 日干: 丁火
  • 格局: 月刃格
  • 日干の強弱: 中強
  • 用神: 己土
  • 喜神: 土・金・水
  • 忌神: 木・火

以上の命式では、時柱が【壬子】となり、官殺の水痛恨し、いわば「有力な官殺」となったため従旺格とは判断できません。ただし日干の強弱程度は中強程あるため、身強となります。格は特別格局の月刃格です。

二つの命式の最も異なるところは、従旺格では印と比劫が喜神となるものの、月刃格の場合は印と比劫が忌神となる点です。このため従旺格であるか否かの判断を誤ると、大運の読みなども大きく間違うことになります。

またもう一つ、間違えやすい命式をあげておきます。

従旺格とは判断できない命式2

以下の命式を見てください。

天干
地支

四柱をうかがうと、日干・丙火であることに加え、地支すべて火を蔵するため、従旺格だと判断してしまいそうです。しかし、従旺格が成立するための最も重要な条件である、「日干が月令を得ること」をクリアしていないため、従旺格にはなりません。以上の命式は日干極強にして調候不良の凶命です。解命結果は以下です。

  • 日干: 丙火
  • 格局: 偏印格
  • 日干の強弱: 極強
  • 用神: 己土
  • 喜神: 土・金
  • 忌神: 木・火
  • 閑神:水

このように、日干が非常に強となる場合においては、従旺格であるか否かの違いによって、喜神・忌神が全く異なるため慎重な見極めが欠かせません。

官殺があるが、従旺格と判断できる命式

以下は、官殺があるものの、従旺格と判断できる命式です。

天干
地支

以上の命式は、日干が月令を得て、印も比劫も重々とありますが、官殺の癸水が年干にあります。このため従旺格は成立しないようにも見えますが、よく命式をみると癸水は火に囲まれており、蒸発してしまっていることが分かります。つまりこの水はあって無いようなものなのです。

具体的には丁・癸は冲去となりますので、原局においては水はないものと見なします。これにより、従旺格の成立条件がすべて満たされましたので、従旺格と判断できます。ただし、以上のように官殺がある命式は真の従旺格ではなく、仮の従旺格となります。解命結果は以下。

  • 日干: 丙火
  • 格局: 仮の従旺格
  • 日干の強弱: 極強
  • 用神: 丙火
  • 喜神: 火・木・土・金
  • 忌神: 水

「真の従旺格」と「仮の従旺格」の最も異なる点は、仮の従旺格では官殺の沖去によって従旺格が成立しているため、歳運などで丁・癸の冲が解けると格局が変化するという点です。この「仮の従旺格」については、用神取得の記事でも詳しく解説したいと思います。