日干の身強・身弱の判断方法~五行の力量測定編2(地支蔵干の力量計算)
前回に引き続き、今回も五行の力量を測定する方法について解説していきます。前回の記事では、天干の力量を計算するところまで解説を進めました。天干の力量を取るためには、天干の五行それぞれに旺相死囚休の数値を掛けるのでした。
ここまでは単純な話です。なぜなら天干は、それぞれが一つの干によって成り立っているため、力量の計算が単純だからです。
しかし地支については、複数の蔵干で構成されているということもあり、天干のように単純に力量を計算することができません。また複数の蔵干といっても、地支によって蔵干が二つのものと、三つのものとありますから、地支の力量を計算する場合はどうしても計算が複雑になるのです。
本気・中気・余気に応じて力量を分配する
まずは地支蔵干における力量の分配方法を見ていきます。単純に考えますと、以下の地支蔵干の力量を、均等に分配すれば良いのではないか?という発想が浮かぶかと思います。
地支 | 蔵干 |
---|---|
子 | 壬・癸 |
丑 | 癸・辛・己 |
寅 | 戊・丙・甲 |
卯 | 甲・乙 |
辰 | 乙・癸・戊 |
巳 | 戊・庚・丙 |
午 | 丙・丁 |
未 | 丁・乙・己 |
申 | 戊・壬・庚 |
酉 | 庚・辛 |
戌 | 辛・丁・戊 |
亥 | 戊・甲・壬 |
前回の記事でお話しましたが、天干:1に対して、地支:2の割合で計算を行います。このため3干蔵する地支については、基本力量を「2 ÷ 3 = 0.666666...」、また2干蔵する地支については「2 ÷ 2 = 1」で良いのではないかという考え方があります。
しかし地支蔵干の力量は、本気・中気・余気によってその基本的なエネルギー量が異なりますから、均等に分配をすると正確な力量が測れません。基本的には本気のエネルギーが最も強となりますので、本気の干を重く見て計算を行わなければなりません。
たとえば申の蔵干は庚(本気)と壬(中気)と戊(余気)によって構成されていますが、本気である庚の力量が最も大きいことから、均等に力量を分配するのではなく、本気の庚の力量を中気や余気よりも強く設定しなければならないのです。
それでは、どの程度の割合でエネルギー量を分配したらいいのか?これについては、本気>中気・余気となりますので、その割合は本気:3分の2(0.66666)に対して、中気または余気3分の1(0.33333)を基本とします。一つの地支に与えられた基本力量は2ですから、もし本気と余気の二干で構成された地支であれば、本気が1.33333に対して、余気は0.66666 = 2の基本力量となります。
分野に応じて力量を分配する
これに加え地支蔵干の力量は、「時間の流れによって変化する」という基本的な原理がありますから、その点も力量計算に加味する必要があります。このため地支の力量計算においては、「本気・中気・余気による基本的な力量の違い」という考え方と、「分野による力量の変化」という考え方の二つを取り入れて計算を行う必要があるのです。
ちなみに「蔵干分野」とは、時間の流れによって変化する蔵干の力量を示したものであり、時間と蔵干の対応です。蔵干分野については、別ページ【蔵干分野表】で紹介していますので、こちらを参考にしてください。
それでは次から具体的な計算方法を解説していきます。
二干蔵する地支の基本力量計算方法
二干蔵する地支の場合は、比較的単純です。蔵干は本気か余気しかありませんので、「本気が分野か?」あるいは「余気が分野か?」の二つのパターンで考えればよいからです。
- 本気が分野の場合
- 本気:1.33333... (1と3分の1)、余気:0.66666... (3分の2)
- 余気が分野の場合
- 本気:1、余気:1
として基本力量を出します。二干蔵する地支は卯・午・酉・子の4つです。たとえば午の場合は丙と丁を蔵しますが、もしこの時丙が分野である場合の計算方法は以下です。
- 地支・午(分野丙)、季節・火旺という条件の場合
- 丙(1 x 5)+ 丁(1 x 5)= 10となり、火のエネルギーは10あることが分かります。ちなみに午の場合は蔵干がどちらも火ですから、分野が丁でも同じ10となります。
- 地支・午(分野丙)、季節・水旺という条件の場合
- 今度は水旺の場合です。丙(1 x 1)+ 丁(1 x 1)= 2となり、火のエネルギーは2しかないことが分かります。ちなみに午の場合は蔵干がどちらも火ですから、分野が丁でも同じ2となります。
三干蔵する地支の基本力量計算方法
三干蔵する地支の場合は少々複雑となります。
- 本気が分野の場合
- 本気:1.333... (1と3分の1)、中気:0.333... (3分の1)、余気:0.333... (3分の1)
- 中気が分野の場合
- 本気:0.666... (3分の2)、中気:1、余気:0.333... (3分の1)
- 余気が分野の場合
- 本気:0.666... (3分の2)、中気:0.333... (3分の1)、余気:1
三干蔵する地支は亥・丑・寅・辰・巳・未・申・戌がありますので、これらの地支については上記のように計算をします。しかしこのうち土の地支(丑・辰・未・戌)の四つについては、季節によって旺となる五行(本気)が変わるため、土の地支が月支にある場合については以下のように計算をします。
丑・辰・未・戌が月支にある場合の力量計算方法
たとえば丑の本気は通常己ですが、もし水旺の場合は癸が旺です。このため水旺の月支・丑の場合は、癸を本気として考えなければいけません。このように辰・未・戌が月支の場合も同様の考え方で計算を行います。
- 本気が分野の場合
- 本気:1.333... (1と3分の1)、中気:0.333... (3分の1)、余気:0.333... (3分の1)
- 中気が分野の場合
- 本気:0.333... (3分の1)、中気:1、余気:0.666... (3分の2)
- 余気が分野の場合
- 本気:0.333.. (3分の1)、中気:0.333... (3分の1)、余気:1.333... (1と3分の1)
※丑・辰・未・戌の余気が旺じる季節は余気・中気の期間となりますので、本気の期間については「三干蔵する地支の場合」と同じです。
力量計算実例
それでは実際の命式を元に力量の計算を行ってみましょう。以下は私の命式です。
壬 | 庚 | 己 | 庚 |
午 | 子 | 亥 | 酉 |
丙・丁(分野:丁) | 壬・癸(分野:癸) | 戊・甲・壬(分野:甲) | 庚・辛(分野:辛) |
一番下の行は蔵干です。括弧内には分野を書き入れました。
天干の力量計算実例
まずは天干から計算を行っていきます。月支・亥なので水旺です。水旺の場合の旺相死囚休の乗数は以下となります。
水(旺) | 5 |
---|---|
木(相) | 4 |
火(死) | 1 |
土(囚) | 2 |
金(休) | 3 |
このため天干の力量は以下となります。
木 | 0 |
---|---|
火 | 0 |
土(1 x 2) | 2 |
金(2 x 3) | 6 |
水(5 x 1) | 5 |
地支の力量計算実例
そして地支の力量も計算していきます。地支の場合は計算が少し複雑になります。
- 午の力量
- 分野は丁のため、(丁)1.33333 X 1=1.33333。(丙)0.66666 X 1=0.66666。
- 子の力量
- 分野は癸のため、(壬)0.66666 X 5=3.33333。(癸)1.33333 X 5 = 6.66666。
- 亥の力量
- 分野は甲のため、(戊)0.33333 X 2=0.66666。(甲)1 X 4 = 4。(壬)0.66666 X 5 = 3.33333。
- 酉の力量
- 分野は辛のため、(庚)0.33333 X 3=0.99999。(辛)1.66666 X 3 = 5。
となります。少々ややこしいかと思われるかもしれませんが、これで天干地支の力量が正確に出せました。それでは最後にすべての五行の力量を合計した表を掲載しておきます。
五行 | 天干力量 | 地支力量 | 合計 |
---|---|---|---|
木 | 0 | 4 | 4 |
火 | 0 | 2 | 2 |
土 | 2 | 0.66666 | 2.66666 |
金 | 6 | 6 | 12 |
水 | 5 | 13.33333 | 18.33333 |
ということで、私の命式では水が最強、火が最弱ということが判明しました。しかし、これで終わりではありません。このままだと食傷の水が最強のため、私の日干は身弱と判断できますが、実は身強となります。その理由については次回以降解説をしていきたいと思います。