陰陽五行思想とはなにか【陰陽編】
「陰陽五行思想」は四柱推命や姓名判断を理解する上で欠かせない理論・哲学です。なぜなら四柱推命や姓名判断というものがこの「陰陽五行思想」に基づいて成立したからです。
このため陰陽五行思想を理解せず、いきなり四柱推命の難しい理論や審察方法を勉強しようとしても、まず理解をすることはできないでしょう。できたとしても理論的な土台がないですから、「なぜこうなるのだろう?」といった疑問が出てくるはずですし、理解も遅くなるはずです。
ですからまずは四柱推命の理論の背景にある陰陽五行思想について語ろうというわけです。また陰陽五行思想は大きく「陰陽理論」と「五行理論」に分けることができますので、分かりやすくするために別々に解説を進めていこうと思います。
陰陽とはなにか
当記事では「陰陽」について解説していきます。早速ですが陰陽とは以下のような概念です。
すべての事物や現象は相反する二つのもの、「陰陽」によって成り立っているというのが陰陽思想のはじまりです。すなわち対立・相反する二つにおいて消極的なものを「陰」、積極的なものを「陽」にたとえ、世界はこの陰陽の調和によって成り立っていると考えます。
武田考玄氏の著書には陰陽について「陰陽とは、相反する、相対的現象を概括している言葉である」と書かれていますが、この言葉が内包するのが「すべての事物・現象は陰陽によって成り立っている」という意味なのです。
この陰陽思想は五行思想が生まれる前に成立したものですので、四柱推命を理解する上で最も初歩的な、しかし最も重要な理論と言えるでしょう。
陰陽の関係を象徴する事物
次は分かりやすいよう、陰陽の存在を象徴する現実の事物や現象について見ていきましょう。
- 天と地
- 右と左
- 表と裏
- 生と死
- 善と悪
- 強と弱
- プラスとマイナス
- 昼と夜
- 光と影
- 明と暗
- 男と女
- 動と静
- 暖と寒
- 縦と横
- 時間と空間
- 肉体と精神
このように見ていくと、すべての事物や現象が陰陽によって成立していることが分かるかと思います。
ちなみに「陰陽と二元論とはどう違うの?」といった疑問を抱く方もいるかもしれません。二元論とは「事柄の本質を解釈するのに、二つの対立する観点から説明しようとする方法[新明解国語辞典第七版]」とありますが、陰陽は二元論のような固定的な見方はしません。その一端を説明致します。
陰中の陽あり、陽中に陰あり
陰陽の思想に「陰中の陽あり、陽中に陰あり」という大変重要な性質が示されています。この意味は「陰や陽の中にもまた陰陽があり、さらにその陰陽の中にもまた陰陽がある」という無限連鎖的な思想を含んでおり、陰陽思想は決して二元論のような固定的な考え方とは異なるのです。
これを具体的な事象で表現しますと、次のようになるかと思います。
- 吉のなかに凶があり、凶のなかに吉がある
- 男のなかに女性的要素があり、女のなかに男性的要素がある(ホルモンなど)
- 右のなかに左があり、左のなかに右がある
- 強のなかに弱があり、弱のなかに強がある(旺極まれば衰がはじまります)
つまり何が言いたいのかと言うと、「あらゆる事物・現象はすべて相対的な要素から成り立っている」というのが陰陽思想の根本と言えるのです。
またそのことは陰陽を表現した以下の太極図をご覧になると分かるかと思います。図は陰の中に陽が混じり合うようになっており、これがまさに陰陽の「陰中の陽あり、陽中に陰あり」を表現しているのです。
ちなみに太極とは「万物の根源」とされる存在で、太極を構成する要素には陰陽があると考えられています。陰陽はこの太極から生じたとされ、太極と陰陽思想には深い関係があります。