生剋名【劫財】について
生剋名【劫財】は日干と同一の五行で、なおかつ陰陽の異なる干を指します。日干は生命エネルギーの核となるものですので、日干と同一五行である比肩・劫財は日干を助ける干(エネルギー)と言えます。
劫財の意義
「劫財」は日干と同一の五行で、なおかつ陰陽が異なる干を指します。つまり日主が「甲」なら劫財は「乙」、日主が「庚」なら劫財は「辛」です。
劫財の「劫」にはおびやかす・うばう・かすめとる・おどすなどの意味があり、「財」には宝・財宝・お金・財産といった意味がありますので、劫財の意味は「財を強引に奪う」といったところです。
なぜ日干と同一五行でなおかつ陰陽の異なる干にこのような名前が付けられているのかというと、それは日干と財干との関係によります。たとえば日干が「甲」の場合、正財は「己」になりますが、この時甲にとっての劫財である「乙」と正財である「己」の関係は乙が己を制剋・剋傷する関係となり、これにより「乙(劫財)が財を奪う」といった意味が生まれたようです。
ちなみに劫財のこのような意味から、命式に劫財があると「財運が弱い」とか「金遣いが荒い」と考えられる傾向がありますが、これは大きな間違いです。正確には「命式に劫財があり、なおかつ身強で劫財を忌み、さらに歳運において比肩・劫財大過する場合は財に困窮する」と言えます。
このため命式に劫財がありなおかつ忌神であっても、喜の大運が巡る場合は財運に恵まれることも大いにあります。
劫財の作用と性質
日干と同一五行である劫財には「日干を助ける」という作用があります。この作用から劫財特有の性質も生まれてくるわけですが、日干の強弱や命式の様相によってその性質傾向は大きく変わってくるものです。
以下に劫財の良い面と悪い面を分けて性質傾向を記しておきます。ちなみに劫財は同一五行である比肩とよく似ていますが、その性質はより強い(強引)と考えられています。
劫財の良い面 | 劫財の良い面 |
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独立心旺盛、自尊心がある、勝ち気で意志が強く粘り強い、積極的、競争心旺盛、独創的、友人に恵まれる | 独断的、強情、強引、自我が強すぎる、固執・執着、わがまま、闘争的・破壊的、破財の傾向がある |
※ただし、このような性質も十干の性質を抜きにしては語れません。たとえば甲による劫財と、丙による劫財では意味や性質が違ってくるということです。
劫財の六神
六神とは「父、母、兄弟、姉妹、配偶者、子女」のことです。四柱推命では、生剋名にそれぞれの六神を当てはめて事象を占います。
劫財の六神は比肩のそれと基本的に変わりません。ただし劫財は陰陽が異なりますので、兄弟の場合は異性の兄弟として見る場合もあります。
劫財が象徴する六神 |
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兄弟姉妹(異性の兄妹)、友人、仲間、同僚、(異父母の兄妹姉妹) |
日干から見て劫財に当たる干
以下は日干に対して劫財に当たる干を表にしたものです。劫財は「同一五行でなおかつ陰陽が異なる」ですので、比較的覚えやすいと思います。
日干 | 劫財に当たる干 |
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甲 | 乙 |
乙 | 甲 |
丙 | 丁 |
丁 | 丙 |
戊 | 己 |
己 | 戊 |
庚 | 辛 |
辛 | 庚 |
壬 | 癸 |
癸 | 壬 |
劫財が喜神・忌神となる格局と判断
以下に、劫財が喜神となる場合と、劫財が忌神になる場合の格局と判断について記しておきます。これは比肩と同じです。
劫財が喜神になる格局と判断
- 命式が「普通格局」に分類され、なおかつ身弱となる場合
- 命式が「陽刃格」「建禄格」「月劫格」に分類され、なおかつ身弱となる場合
- 命式が「従旺格」「一行得気格」「化格」に分類される場合
劫財が忌神になる格局と判断
- 命式が「普通格局」に分類され、なおかつ身強となる場合
- 命式が「陽刃格」「建禄格」「月劫格」に分類され、なおかつ身強となる場合
- 命式が「従児格」「従財格」「従殺格」「従勢格」に分類される場合