四柱推命旺

十干と十二支から解命を行う本格的四柱推命の専門サイトです。四柱推命の本質と解命方法を詳しく解説し、ユーザーの皆様の理解を深めていきたいと思います。

生剋名とはなにか

このページでは四柱推命で頻繁に用いられる「生剋名」について解説していきます。「生剋名(せいこくめい)」という用語を初めて聞いた方もいるかもしれません。それは日本では「生剋名」を「変通星」と呼ぶことが多いからです。しかし生剋名は星とは何の関係もありませんので、一貫して「生剋名」と呼ぶことにします。

生剋名とは、干と干との相関関係を示した仮設代名詞です。「比肩」「食神」などと言い、すべて漢字二文字であらわされます。

四柱推命においてなぜこのような生剋名が用いられているのかというと、干と干との相関関係を「日干を生じる干」とか「日干が剋す干」と書くと長いですし、学ぶ者の理解を妨げる可能性があります。このため「日干と同一五行で、なおかつ陰陽が同じ干を『比肩』」と定めることにより、四柱推命を学ぶ上でも大変分かりやすくなるというわけです。

四柱推命とは概して、「生命エネルギーの中心核である日干を軸として、その他の干との関わり合いを考察して命運を知る」ものですから、そのような干と干との相関関係への理解を深めるために生剋名というものが生み出されたのです。

生剋名の種別

それでは生剋名の種別について詳しく解説していきます。まず、生剋名の基本は以下の5種から成り立ちます。

作用名生剋名意味
比肩・劫財日干と同一五行
食神・傷官日干が生じる(洩れる)五行
偏財・正財日干が剋す(制する)五行
偏官・正官日干を剋す五行
偏印・印綬日干を生じる五行

このような作用を生剋制化と言い、以上に記したように幇・洩・制・剋・生の五種があります。ご存じの方も多いかと思いますが、これは五行の相生・相剋の作用に由来しています。

つまり生剋制化の基本作用は5種であり、そこに陰陽の2種の作用を加えることによって、10種(5 X 2)の生剋名が生じるというわけなのです。このため例えば、幇の作用をもつ比肩と劫財は、日干と同一五行という分類上、その作用・性質が非常に似ていると言えるのです。

以下にすべての生剋名と意味を載せておきます。

生剋名意味
比肩(ひけん)日干と同一五行で、陰陽が同じ干
劫財(ごうざい)日干と同一五行で、陰陽が異なる干
食神(しょくじん)日干が生じる五行で、陰陽が同じ干
傷官(しょうかん)日干が生じる五行で、陰陽が異なる干
偏財(へんざい)日干が剋する五行で、陰陽が同じ干
正財(せいざい)日干が剋する五行で、陰陽が異なる干
偏官(へんかん)日干を剋する五行で、陰陽が同じ干
正官(せいかん)日干を剋する五行で、陰陽が異なる干
偏印(へんいん)日干を生じる五行で、陰陽が同じ干
印綬(いんじゅ)日干を生じる五行で、陰陽が異なる干

このようになっています。以上を暗記しますと、たとえば日干が甲の場合の庚は「偏官」だということがすぐに分かるのですが、初学の人の場合は混乱しやすいため、以下に日干別の表も記載しておきます。ちなみに十干の種類と性質についてはまた別ページで詳しく解説しますので、そちらをご参照ください。

日干別の生剋名一覧

上段の日干を軸として下部の干をご覧ください。

日干
比肩
劫財
食神
傷官
偏財
正財
偏官
正官
偏印
印綬(正印)

生剋名のその他の呼び名

一応以上で紹介した生剋名が最も一般的なものだとは思いますが、流派や占い師によってはその他の用語を用いたりしますので、混乱を避けるためにも別の呼び方について解説しておきます。

敗財
陽日干に対しての干が劫財の場合の呼び方です。解命する上でほとんど意味はありませんので、「劫財」で統一します。
七殺
偏官が日干から数えて7つ目に当たることから「七殺」と呼ばれることがあります。また、ただ「殺」とも。
倒食
偏印が食神を剋すため「倒食」と呼ばれることがあります。これは古来食神が吉神と考えられていたため、悪作用をする偏印の別称として考えられたようです。

当サイトでは基本的に以上のような別称は用いず、すべて先程の表に掲げた用語に統一して解説します。

生剋名を知るだけでは解命はできない

生剋名はとても便利ですが、単純に干と干との相関関係を言い表しただけですので、生剋名だけで解命することはできません。なぜなら生剋名のみでの判断では、干そのものの特性が語られないからです。

つまり十干それぞれに特性があるため、「甲にとっての食神」と「庚にとっての食神」は厳密には異なります。四柱推命の本質は十干それぞれの性質を知った上で、生剋名からその作用を明らかにすることですので、十干の性質を論せずに生剋名だけに頼ることは、間違った結論に至る可能性があるわけです。

また、生剋名自体に性質や運勢があるわけではありません。生剋名はあくまでも日干とその他の干との関係を言い表したものであるからです。

このため、たとえば「劫財の人は強引で荒っぽい」とか、「偏印が強い人は性格がひねくれている」といった見方は非常に一面的なものであり、間違った結論に至る可能性が高いと言えます。もちろん生剋名に由来する性質もありますが、それは十干の特性や命式内の構造によって大きく変化するものですので、やはり十干の特性や命式全体の有り様を見極めなければならないということが言えるかと思います。

また十種の生剋名については、別ページで個別に詳しく解説していきたいと思います。