四柱推命旺

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吉福の多い命式と、波乱の多い命式の見分け方

身強・身弱の判断方法について解説を進める前に、ここで「吉福の多い命式と、波乱の多い命式の見分け方」について、その概要を簡単に示したいと思います。

というのも、四柱推命で吉命か凶命かを見定めるために、生剋名や十二運といったものを中心に考えている人がとても多いと感じるからです。これまでにも幾度か説明してきましたが、生剋名や十二運といったものは、単体で吉凶に影響を及ぼすものではありません。このため、これらを話題にしている限りはいつまで経っても人の命運は分からないのです。

ではじゃあどのように命式を見たらいいのか?という疑問が湧きます。詳しい事象の見方については今後少しずつ語っていくとして、今回はざっくりと吉命か凶命かの傾向を見定める方法について語りたいと思います。

ただ注意点としましては、吉命か凶命かを見定めるとは言っても、その幅というものは0から100まであり、厳密にどちらかに区分けするというようなことは出来ません。また命式が悪くとも、大運の動向によってはそれほど波乱なく一生を終えるということもありますから、この点も考慮しなければいけません。

ということで、今回の解説はあくまでも命式における吉凶の傾向を見定めるということになります。

命式の傾向を見定めるための前提条件

命式の吉凶の傾向を見定めるには、何よりもまず以下の事柄が正確に分かっていなければなりません。

  1. 日干の身強・身弱
  2. 格局判断
  3. 用神(調候も含め)
  4. 喜神と忌神

番号が振ってありますが、1から順番に明らかになるものですので、順に定めていきます。1は「日干の身強・身弱」であり、これを間違えるとその後すべて間違える可能性が出てくるということからも、大変重要な作業であることが分かるでしょう。

そして2の「格局判断」ですが、この格の選定作業も、大変微妙な判断を強いられる命式がありますので、慎重に判断を行わなければなりません。また従格(特別格局)となる場合には、普通格局と判断した場合とは喜神・忌神が逆転することもありますので、格の判断も大変重要です。

さらに日主の強弱と格局がはっきりと分かってはじめて、命式の用神と喜神・忌神が判明することになります。そして命式の喜神・忌神が定まってようやく、その人の命式の喜忌の傾向というものが分かるのです。

このため、日主の用神や喜神・忌神が分からないうちは、まだ何も分かりません。ましてや十二運に死や病が多いとか、生剋名において殺や偏印が多いとかいう情報は、全く運勢には関係ないものです。さて次は、命式の喜忌の見方について具体的に見ていきましょう。

運勢波乱の傾向がある命式の見方

命式の喜忌の傾向を判断するその見方は、実際とてもシンプルです。要点は以下になります。

  • 命式が特定の五行に偏っている
  • 調候不良

この2点のみです。ただし先程も言いましたが、「命式が特定の五行に偏っている」とは言ってもその幅は0~100まであるため、どの程度喜であり、どの程度忌なのか?を明らかにするためには仔細な判断を必要とします。

それから「命式が特定の五行に偏っている」を判断するのは別に喜神・忌神が判明してなくても簡単に分かるのでは?と思われるかもしれませんが、命式内に土の干支が5つあっても土が弱い、という例があるため、見た目ではなく命式内の五行エネルギーの力量を正確に測る必要があり、そうでなければ特定の五行に偏っているか否かを判断することはできないのです。

また、普通格局と従格および化格では、喜神・忌神が逆転するため、「命式が特定の五行に偏っている」だけで喜忌の判断ができるのか?という問題があります。これについては、たしかに普通格局と従格等の間で細かな相違があるものの、基本的には普通格局であれ従格であれ、「命式が特定の五行に偏っている」のは波乱となる可能性が高い(※もちろん大運により吉となる命もあり)と見るのです。

従旺格は運が強い?

よく聞くのが、従旺格は運が強いという見方です。これは大変誤った見方でありますが、なぜこのような勘違いをしてしまうのかというと、おそらくは以下の事柄に基づいているものと思います。

  • 「従旺」や「従強」という強そうなイメージから、強運を連想する
  • 特別格局という格局の分類から、「特別な運をもった人」と勘違いする
  • 特別格局は運が強いと勘違いした占い師が、その情報を伝播し、さらに勘違いした人が増える

ということだと思うのですが、実際は異なります。以下が私の見解です。

  • 「従旺格」は命式において、ほぼ日干を生助する干支で占められる。このことから、調候不良となりやすく、したがって運勢には波乱が多くなり、健康にも問題が出やすい。特に日干が火の人で従旺格は、すべて調候不良となるし、日干が水の人で従旺格も、ほぼすべて調候不良となる。
  • 「従旺格」では破格という現象が起きる。命式が破格になると、その五行の偏りが露出するように、現実も大きな波乱的運勢となる。

ということが言えるのです。このため、むしろ従旺格の人は運勢波乱となりやすく、決して「強運の人」などではないのです。また従旺格の人は性質・気質が強いというイメージをもつ人もいますが、これも間違いです。むしろ強に偏りすぎると、臆病さや敏感さが強く出る傾向があります。

忌神が多く、なおかつ調候不良が最も凶となる

このため、命式に忌神が多く偏っており、調候が不良の場合、最も運勢波乱の傾向となります。私のところに命名相談に来られる方のなかでも、病弱で運勢にも波乱が多いという方の命式は、やはり特定の五行に偏っており、なおかつ調候不慮がとても多いです。

調候については既に別ページで解説していますが、要は夏生まれなのに水がない、冬生まれなのに火がないといった命式が調候不良の命式です。ただし調候の干があっても、私のように合や冲作用によって調候不良となっている命もありますから、単純に命式にあるからという判断はできません。

調候については【調候とはなにか?調候用神の重要性】というページで少し詳しく解説していますので興味のある方はそちらを参考にしてください。

命式のバランスが極端に悪いと、金運・仕事運・健康運・恋愛運等あらゆる運が弱い傾向となる

四柱推命において金運や恋愛運は財干、仕事運は官や食傷の干、健康運は五行バランスや調候、などで見ていきますが、命式のバランスが悪い場合はそれら全てにおいて運勢が弱い傾向となります。

実際の命式を例に見てみましょう。

天干
地支

以上の命式の場合は、寅・卯・辰と木の方合が完成していますし、時支に卯木もあるため、木が明らかに大過しています。木は日干の己を強く剋し、身弱。また格は偏官格となりますので、喜神は日干を生助する火と土。忌神は金・水・木となります。

官である木が極めて強いため、木が忌神となるのは当然ですが、同時に水や金も忌神です。この命式の方は、官が大過するため病弱傾向(木の部位に難があらわれる)、官大過して出世運が弱いため地位は低く、財にも常に苦労することが分かります。

また命式のバランスが極端に悪いため、大運に喜神が巡ってもバランスが改善されず、大した発福とはなりません。つまり忌神の食傷・財・官の忌象が、そのバランスの悪さの分だけ強くあらわれることになりますから、あらゆる運勢が弱い傾向となるのです。

※ただし姓名の構造によっては運勢が大きく好転する可能性も秘めます。上記の命式の場合は、姓名に火を多くもつことで吉傾向大いに強まります。

吉福の多い命式の見方

これまで波乱傾向のある命式の見方について簡単に見てきましたが、吉傾向のある命式の見方はそれとは逆です。

  • 命式における干支の配合と五行バランスが良い
  • 調候適切

と簡単に言うことができます。簡単に言うことはできるものの、やはり用神を導き出すためのプロセスにおいて仔細な判断が必要となります。つまり「命式における五行バランスが良い」とは言っても、単純に五行を数えるだけでは分かりませんし、五行のバランスが良くても合や冲による作用でもってバランスが悪くなる例もありますので、やはりその判断は簡単ではないのです。

さらに、「命式における五行バランスが良い」ということは、単純に五行の力量のバランスが良いというだけではありません。大運や流年運で巡る干支との合・冲作用において、バランスが崩れにくいという命式が真に吉傾向ある命式と言えるのです。

少し実例をあげますと、以下の命式などはとても干支の配合と五行バランスが良いと言えます。

天干
地支

以上は経営の神様と呼ばれた松下幸之助さんの命式ですが、以下の点から吉傾向が強いと判断できます。

  • 調候が適切。冬生まれで水の人の場合は、丙火が二干必要とされるが、丙火が天干と地支に二干ずつあり、調候が非常に適切。
  • 五行バランスが良い。月令を得るため、原局では水強となるものの、辰・酉が支合せず合去となるため水・木のエネルギーがやや減弱し、強すぎず弱すぎずとなる。日干やや身弱となるが、バランスが良いため木・火・土・金・水のどの干支が巡ってきても大きく偏りにくい。よって運勢に波乱が起きにくい。
  • 調候が適切であり、五行のバランスが良いため、喜神が巡る時期は大いに発福の可能性あり。大運においては43歳から「庚辰」が巡るが、大発展期となる。命式のバランスが良いため、人生全体において福運が多い。

ということができます。具体的な命式の見方については、今後事象論で解説したいと思っています。なお運勢には姓名も強い影響を与えます。松下幸之助さんは姓名のバランス良好であることに加え、先天運との兼ね合いも良いため、大きく発展する命となりました。

大運によって吉となる命もあれば、凶となる命もある

これまで簡単に吉傾向・波乱傾向の命式の見方について解説をしてきましたが、一生の運勢は10年毎に推移する大運に左右されるわけですから、大運の動向も喜忌に影響を与えます。

このため大運の動向と、命式の様相をあわせて判断し、その吉凶を定める必要があるのは当然のことです。しかし既に解説した「命式における干支の配合と五行バランスが良い」「調候適切」といった命式は、大運にいかなる干支が来てもバランスが崩れにくいという特徴があり、したがって運勢にも波乱が起きにくい命と言えるのです。

反対に五行バランスが大きく偏った命式の人は、大運で喜神が巡ってもバランスが改善せず、すなわち吉福を発揮しない、といったことも起こるのです。このことから、「大運によって吉となる命もあれば、凶となる命もある」とは言えるけれども、大運を見ずとも吉凶の大凡の傾向性は分かると言えるでしょう。