四柱推命旺

十干と十二支から解命を行う本格的四柱推命の専門サイトです。四柱推命の本質と解命方法を詳しく解説し、ユーザーの皆様の理解を深めていきたいと思います。

健禄格・陽刃格・月劫格の成立条件

今回は四柱推命の特別格局である健禄格・陽刃格・月劫格の成立条件について解説していきたいと思います。

まず、特別格局のうち、これら健禄格・陽刃格・月劫格の解説を後回しにしたのにはワケがあります。それは以下の理由に依ります。

  • 健禄格・陽刃格・月劫格は、日干が月令を得るものの、従旺格や一行得気格とはならない場合に成立するため、はじめに従旺格や一行得気格を説明することによって、理解しやすくなる

ということなのです。また、健禄格・陽刃格・月劫格を一緒に説明する理由は、「成立条件が似ているから」です。このため、これら三つの格局は同時に覚えたほうがすんなり理解しやすいでしょう。

まずは、健禄格・陽刃格・月劫格に共通する成立条件を見てみましょう。それは、

  1. 日干が月令を得ること
  2. なおかつ、従旺格もしくは一行得気格には分類されないこと

ということですので、日干が月令を得て、従旺格もしくは一行得気格にならない場合は、すべて健禄格・陽刃格・月劫格に分類されるということです。

次は、それぞれの成立条件について見ていきましょう。

健禄格・陽刃格・月劫格の成立条件について

まずは健禄格の成立条件について解説していきます。

健禄格(けんろくかく)の成立条件について

早速ですが、健禄格の成立条件は以下です。

  1. 日干が月令を得ること
  2. なおかつ、従旺格もしくは一行得気格には分類されないこと
  3. 月支において、比肩が司令していること

なお「司令」というのは、分野とは少々異なる概念ですので、ここで少しだけ説明をしておきます。以下の表をご覧ください。

甲木司令寅月~卯月・甲木分野まで
乙木司令卯月・乙木分野~辰月・癸水分野まで
丙火司令巳月~午月・丙火分野まで
丁火司令午月・丁火分野~未月・乙木分野まで
戊土司令辰月・戌月の土旺(戊分野)
己土司令丑月・未月の土旺(己分野)
庚金司令申月~酉月・庚金分野まで
辛金司令酉月・辛金分野~戌月・丁火分野まで
壬水司令亥月~子月・壬水分野まで
辛金司令子月・癸水分野~丑月・辛金分野まで

ということですので、たとえば日干が甲木で、寅月・甲木分野の生まれの場合は、比肩が司令しているということになります。また寅月はすべて甲木司令ですので、日干・甲木で、寅月・丙火分野生まれでも比肩が司令していることになりますから、間違えないように注意が必要です。

このあたりは少しややこしいかもしれませんので、後の実例の項で解説したいと思います。

陽刃格(ようじんかく)の成立条件について

つづきまして、陽刃格の成立条件は以下です。

  1. 日干が甲・丙・庚・壬のいずれかであること(陽刃とは、日干が陽干であり、月支が帝旺となることに由来するものです。このため生旺墓絶のない戊は入りません。)
  2. 日干が月令を得ること
  3. なおかつ、従旺格もしくは一行得気格には分類されないこと
  4. 月支において、劫財が司令していること

となります。このためたとえば日干が庚金で、月支が酉月・辛金分野であれば、劫財が司令するため陽刃格となる可能性があります。

月劫格(げつごうかく)の成立条件について

最後に、月劫格の成立条件は以下です。

  1. 日干が乙・丁・戊・己・辛・癸のいずれかであること
  2. 日干が月令を得ること
  3. なおかつ、従旺格もしくは一行得気格には分類されないこと
  4. 月支において、劫財が司令していること

となります。このため、日干が乙木で月支が寅月生まれであれば、劫財が司令するため月劫格となる可能性があります。

健禄格・陽刃格・月劫格の実例判断

文章だけでは分かりづらいと思いますので、実際の命式を例に、健禄格・陽刃格・月劫格の三つを解説していきたいと思います。

健禄格となる命式

まずは健禄格からです。以下の命式をご覧ください。

天干
地支
分野

以上の命式は日干が庚金であり、月支が申のため月令を得ています。申月は庚金司令であり、これは日干の庚に対して比肩に当たるものです。なおかつ、時干に丁火があるため従旺格などには分類されませんので、健禄格となります。日干は大変強く、用神は壬となる命です。

陽刃格となる命式

次は陽刃格です。陽刃格は日干が甲・丙・庚・壬のいずれかでしか成立しません。

天干
地支
分野

以上の命式は日干が甲木であり、月支が卯月・乙分野のため乙木司令に当たります。そして乙は日干の甲に対して劫財に当たるものです。なおかつ、時干に庚金があるため従旺格などには分類されませんので、陽刃格となります。日干は大変強く、用神は丙火となる命です。五行のバランスは木に偏っていますが、木・火・土・金・水すべての五行が気を通じており、調候の丙火もあるため、福運のある命です。

月劫格となる命式

最後は月劫格です。月劫格は日干が乙・丁・戊・己・辛・癸のいずれかでしか成立しません。

天干
地支
分野

以上の命式は日干が己土であり、月支が戌月・土旺のため戊土司令に当たります。そして戊は日干の己に対して劫財に当たるものです。なおかつ、日支に卯木の官があるため従旺格などには分類されませんので、月劫格となります。日干は小強程度ですが、やはり月令を得て日干最強となるため、身強の用神・庚となる命です。

健禄格・陽刃格・月劫格の喜神・忌神について

用神については、健禄格・陽刃格・月劫格の三つは、普通格局の取り方と同じです。このため従旺格や一行得気格などとは異なり、必ずしも旺神を取るわけではありません。

つまり、健禄格・陽刃格・月劫格であり、身強であれば概して食傷・財・官が喜神、身弱であれば印・比劫が喜神となります。

また、月令を得る場合は必ず身強になると考えておられる方もいるようですが、月令を得るからといって必ずしも身強となるわけではありません。例えば月令を得るものの、他の干支はすべて食傷・財・官で占められる場合もあり、その場合は概ね身弱となります。

たとえば、

天干
地支

上記の人は陽刃格となりますが、子・午冲して火は-10となりますから、身弱と判断できる命です。