四柱推命旺

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食神・傷官の作用と性質傾向

前回の比肩・劫財に引き続き、今回は食傷の作用と性質傾向について解説をしてみたいと思います。

食神・傷官の性質についても比肩・劫財と同様、まずは食神や傷官といった生剋名にどのような作用があるのか?この点を明らかにした上で性質について言及していきます。なぜなら生剋名に由来する性質というものはその作用が元になっているためです。

食神・傷官の作用

食神・傷官、いわゆる食傷と呼ばれる生剋名は、日干が生じる五行のことです。そして食神とは日干と同一五行のものを、傷官とは日干と異なる五行に対して与えられた名称であります。

ちなみに食神は吉神で、傷官(官を傷つけるという意味)は凶神というイメージが昔から特に日本の四柱推命においてはありましたが、これには何の根拠もありません。ただ昔は正官が尊いものと考えられており、傷官はこれを強く剋すことから忌み嫌われていただけです。

また食神・傷官の作用には、日干から生じられる・食傷を助ける・財を生じる・官を剋す・印から剋されるといった5つの作用があり、これらの作用が食神・傷官の特質や性質傾向としてあらわれます。

食神・傷官の基本性質

食神・傷官の性質として最も重要なことは『日干が生じる・日干から生じられる』という点です。これはどういうことかというと、食傷は日干が生み出すものということなのです。つまり食傷を生み出すものは日干しかありません。そして日干とは生命の核すなわち自分自身を象徴するものですから、食傷とは自分自身(自我)から生み出されるものという非常に重要な意味があります。

このような食傷の作用から、食傷は主に次のような性質をもちます。

  • 自我から生み出されるもの(自己表現・アイディア・智恵など)
  • 行動・活動
  • 利他の心(食傷は自分のエネルギーを減損して他を利する)
  • 自由が好き(行動を制限されるのが嫌い)

つまり食傷は自我を象徴する日干から生じられるものであるため、自分自身のエネルギーを使って生み出されるものになります。このため食傷の豊かな人は智恵やアイディア力に秀で、また活動的であることが分かります。そして食傷の人は利他心が豊かであるため、自然と他人や社会に奉仕する傾向があるでしょう(反対に印の人は利己的となる傾向があります)。

また食傷の人は概して自分自身で考え方ことを自分のやりたいようにやっていくことを好みます。このため自由を最も愛するのがこの食傷の人達であり、自由を制限されるのを最も嫌うのです。これは周りから見るとしばしば自分勝手に映るようですが、食傷の人達にとっては周りよりも自分の考えが最も重要となります。

しかし、命式に食傷があるからと言って、全ての人に以上のような傾向が共通にあらわれるというわけでは当然ありません。もちろん食傷の強弱程度は様々であるため、食傷の出方も様々となります。次は食傷の様々な作用について見ていきましょう。

食傷の良い作用と悪い作用

一概に食傷の作用・性質といっても、命式のタイプによって食傷の強弱は様々となります。そしてそれが極端なバランスとなるとき、食傷の作用も極端となります。概して食傷は、身強と身弱の場合で大きく作用が異なりますが、まずはそれについて見ていきます。

身強の人の場合の食傷の作用

身強の人の場合は食傷が喜神となります。身強の人は日干のエネルギーが強いためです。食傷は強すぎる日干のエネルギーを洩らして中和させるため喜神になるというわけです。

そのような場合、食傷の作用は最も良いものとなる傾向があります。アイディア豊富で行動力・決断力があり、利他的でお金儲けも上手(食傷は財を生じる)。また日干に適度なエネルギーがあるため体力も強く、考え方も調和と健全を保ち暴走することが少ないでしょう。

そして食傷は衣食住を象徴するため、食傷が喜神となる人は生活が豊かになる傾向があります。もちろんバランスにも依りますが、概して日干と食傷のエネルギーバランスが良い場合は最も食傷の働きが適切となるため、仕事・家庭・プライベート様々な面において福運を得る傾向があります。

身弱の人の場合の食傷の作用

食傷とは日干が生じる五行です。しかし身弱の人はそもそも日干のエネルギーが弱いため、食傷を生じることができません。これはどういうことになるでしょうか?つまり食傷とは、日干にエネルギーがある場合のみ有用となるものであり、もし日干にエネルギーがない場合は当然忌神となるわけです(※従児格を除く)。

ないエネルギーをさらに食傷によって奪われることによって、食傷は悪い作用を起こします。具体的には以下のような性質傾向となり、あるいは忌象が起こるでしょう。

  • 考え無しに行動する傾向(暴走・浪費癖・誘惑に弱い)
  • 意志が弱く、散漫で、持続力がない
  • 智恵がなく、行き当たりばったりの行動
  • 忍耐力がなく、感情的かつ衝動的なため、時に破滅的状況を迎える
  • 病弱傾向

このような傾向が身弱の食傷タイプには当てはまります。これは特に食傷大過身弱の場合著しくなります。また食傷が忌神の人は概して財も忌神となりますので、財運が弱いでしょう。そして衣食住についても荒れる傾向が当然出てきます。

また細かいところでは、食べ物の好き嫌いが多い・集中力がなく迂闊・したがって事故を起こしやすい、というのも食傷が忌神の人の特徴です。

食傷が弱いタイプ

それでは次は食傷が弱い(もしくはない)タイプについても見ていきましょう。食傷とは日干が生じるものでした。この作用にしたがうと、食傷が弱いタイプには以下のような特徴があります。

  • 利己的・自分中心になりやすい
  • 決断力・行動力がない
  • とても慎重で考え込みやすい
  • 視野が狭い
  • 頑固で譲らない(身強)

このようになります。ただし食傷が弱いタイプにおいても身強・身弱の違いで性質傾向に違いが出ることも認識しておいてください。

食傷と職業について

食傷にも様々なタイプがありますが、日干が強く食傷もある程度強い人は独立心が強く智恵も豊かであるため、クリエイティブな仕事に特に向いています。

また食傷は日干が生み出すもの、つまり自分自身が作り出す物に当たるため、芸術や創作の分野では食傷の有力な人が圧倒的に向いています。逆に食傷の弱い人は、クリエイティブな分野では力を発揮しづらいと言えるでしょう。

さらに食傷の人は束縛や制限されることを大変嫌うため、やはり自分自身の考えやアイディアがそのまま活かされる職種や職場が向いていると言えます。また利他的な傾向が強いため、自分の働きが人々の役に立っていると即座に実感できるような仕事も向いています。

なお具体的には木の食傷なのか?金の食傷なのか?といった日干の五行の違いでも性質傾向が異なるため、深入りするとキリがなく、今回はこの辺にしておこうと思います。