四柱推命旺

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病薬用神の見方詳細~病難暗示とその時期を知る方法

今回は病薬用神の見方を解説したいと思います。いきなりですが、病薬用神とは『病薬』ですので、病に対して『薬』としての役割を果たすような用神、という意味になります。

四柱推命に詳しい方であれば、この病薬用神というのは聞いたことがあるかと思いますが、その取り方や詳しいところについては、プロの占い師でも見当違いのことを言っていることがありますので、ここで整理しておきたいと思います。

なお病薬用神は、通常の扶抑用神とは異なる視点から見るもので、複数の『薬』が存在する可能性があります。また命式によっては、そもそも『病』がないものもありますので、必ずしも病薬用神が存在するとは限らないのです。

命中の『病』とはなにか?

そこでまずは、命式中の病とはなにか?から説明していきたいと思います。命中の病とは、大体以下の条件を満たすものと言えます。

  • 大過しており、命中の五行バランスをひどく乱している五行
  • なおかつ、忌神となる五行
  • それによって、命(日干)に危険があると判断できるもの

これだけでは分かりにくいと思いますので、以下に実例を示したいと思います。以下の命式は、実際に私の知り合いの方で、最近死亡した方です。少し悲惨な死に方をしましたので詳細は語りませんが、かなり波乱の人生であったようで、病気も多々ありました。

天干
地支

以上の命式ですが、月支は辰・木旺の生まれです。時柱は不明ですが、一見して分かるように、地支には寅・卯・辰の木の方合が成立しています。木旺ですので、その威力はすさまじく、単純力量にして30程度。これが日干の己を剋しますが、死令の土ですので、木の剋に全然耐えられません。

ちなみに格局ですが、月干に食傷の庚金がありますので、普通格局に属します(食傷・官が対立するため)。そのため、忌神は木と水、喜神は火と土、閑神は金となります。

さて、これを病薬の視点から見ると、命中の病となっているのは明らかに木であることが分かるでしょう。なぜなら、木は日干に対して官であり、なおかつその力量は大変強く、殺となって日干を剋しているためです。

なおかつ、木は忌神であり、大過することで日干を剋し弱め生命を危険にさらすため、明らかな病と言えるものです。

そこで、木が命中の病と判明しましたので、この木を抑制しなければ命に危険がある(病気があらわれる)ことが分かります。これは後ほど大運のところで解説しますが、病となっている木を中心に観察することで、一生における健康状態も大体分かってきます。

病に対して『薬』となる用神を導き出す

次に、病薬用神を導き出します。官の木が病ですので、木を抑制することのできる庚金がまずは『薬』となります。これは月干、そして年干に庚金がありますので、命中には『病薬用神がある』と判断できるのです。

ちなみに辛金は陰金であり、強い木には歯が立たないため、病薬用神としてみることはできません。

そして次に、官の木と日干の土の通関となる火も『薬』として見ることができるでしょう。なぜなら、大過した木は火によって洩気となって火を生じ、強められた火が日干の己土を生じるためです。なお火は、丁・丙どちらも有用ですが、やはり丙火のほうが威力が絶大となります。

つまり、大過した官の病に対しては、食傷または印が薬になるということです。ただし、普通格局の場合は食傷は忌神または閑神となりますから、当然印(火)の方が好ましいことは言うまでもありません。なぜなら食傷は官を剋すも、日干のエネルギーを奪うためです。

これによって、命中の病と薬が明らかになりました。つまり、命中の病を制することができない場合は病弱多難となりますが、命中の病をうまく抑制することができれば病気の発現を抑えることができることになり、たとえ命中に病があったとしてもまずまず良好な運勢を得ることができるのです。

それでは以下に、薬になる用神の条件をまとめます。

  • 病を制することができる干
  • 病の気を洩らすことができる干

以下は病薬用神の一応原則ですが、必ず命式の様相を詳しく観察してください。また大過する五行を書いていますが、大過すると必ず病になるわけではありません。

木の大過庚金・火
火の大過壬水・土
土の大過甲木・金
金の大過丙火・水
水の大過戊土・木

病薬用神が効かなくなると病気を発する

再び先ほどの命式を示します。以下の命式では、病薬用神の一である庚金がありますが、火は一つもありません。もしかしたら時柱に存在したのかもしれませんが、当人の運勢をみた限りでは火は大変弱い状態であったと思います。

天干
地支

ここで、当人が亡くなるまでの大運の動きを追ってみましょう。時柱が分からないため合・冲を詳しく見ることはできませんが、大運の旺支を読むことで大体の流れが掴めます。

  1. 0歳~【庚辰】:忌神運です。幼少の頃階段上から蹴落とされ死にかけたことがあるそうです。辰は木の方合に加担しますので、木強となりますが、天干に庚金があるおかげで一命を取り留めました。
  2. 7歳~【辛巳】:巳火が巡りますので、病薬用神である火と金の二つが作用することになり、小康を得ます。また天干は辛金であり、こちらも食傷の金を強める働きをし、木の大過を抑えています。
  3. 17歳~【壬午】:地支に午火が巡り、大過した木のエネルギーを得て日干を生助します。喜の運ですが、ただ天干の壬水が火を弱めてしまい、小吉運となります。事象はこの時期に結婚したようで、仕事もまずまず安定していたようです。
  4. 27歳~【癸未】:未は前半火旺、後半土旺となり、喜神ではありますが、天干の癸水は木を強化する作用がありますので、前運よりもやや運勢は落ちます。病薬用神の観点では、火が効いていますので、大きな病気はあらわれない暗示があり、実際に大病はしていません。
  5. 37歳~【甲申】:少し不穏な運勢に入ります。なぜなら、天干・地支ともに忌神だからです。天干には最忌神の甲木、地支は病薬用神の申金ですが、申には水を強める作用もあり、木を制することができません。この時仕事は安定せず、大病はしないもののヘルニアや、酒癖の悪さなども出て波乱傾向となりました。また仕事でアスベストを大量に吸っていたせいで、肺に問題があらわれています。肺は金の五行であり、金木相剋するために故障となってあらわれました。
  6. 47歳~【乙酉】:酉は卯木を制するため、もし合しなければ木の方合を解きます。このため、酉金は木の病薬用神として非常に有用となり、前運より少しマシな運気となります。ただし、やはり木・金ともに忌神であり、日干のエネルギーを漏洩するため、喜神運とはなりません。むしろ流年に水が巡ると、金->水->木という流れが出来てしまうため、凶事多しとなります。そのため、前運同様仕事安定せず、また健康や家庭においても波乱的境遇となりました。
  7. 57歳~【丙戌】:戌は前半金旺、後半土旺ですし、天干にも丙火が昇りますので、喜神運となります。特に後半は火・土が活きるため落ち着いた運気となるでしょう。この時期に定年退職し、運気どおり後半は落ち着いた生活を送っていたようです。
  8. 67歳~【丁亥】:こちらが問題の大運です。亥は方合した木を強烈に生じるため、強い忌神運と言えます。また天干に丁火がありますが、日干を生じるには力が弱いですし、何より死令の火なのでエネルギー自体が弱いです。病薬用神の観点から見ますと、亥水は天干の庚金に生じられて強くなり、さらに官の木を強めるため、『薬』が失した状態となります。これは、金と木の通関である水が巡ったことで、金の薬としての作用が無力化し、むしろ木を強める作用をもつためです。このため、流年運によっては死んでしまう(日干過弱に陥る)とさえ私は考えていたのですが、実際に2022年【辛丑】の流年に亡くなってしまいました。

以上ざっくりとではありますが、健康状態を見る際には、病薬用神の視点から観察すると人生における波乱期や寿命の時期が分かるようになります。※ちなみに寿命は先天運に加えて姓名も大きく関係してきますので、先天運だけでは分かりません。本日紹介した方は、姓名にも忌神が多く、喜神が活きていなかったため、大体の寿命が分かりました。

今日紹介した方の病気の詳細については書いていませんが、これまでに病気を発現した主な部位は肺(金)・肝臓(木)・膵臓(木)・腰ヘルニア(金)となっており、金と木の対立がそのまま病気となってあらわれていることが分かるでしょう。なお大病はありませんでしたが、ある時(【丁亥】の大運時)酒を飲んで意識を消失し、その後医師から死んでもおかしくないほど肝臓がやられていると言われたそうで、これは木の大過が凄まじかったことをあらわしています。

最後になりますが、四柱推命は未来を予知してその凶暗示を防ぐために有用となります。このため未来の宿命にただただ流されるのではなく、もし将来の大運に凶暗示を見つけたら、今から健康に気をつけていくことで運命は大きく改善できるのです。