四柱推命旺

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生剋名【偏官】について

生剋名「偏官」は日干を剋する五行であり、なおかつ陰陽が同じ干を指します。「官」とは日干が剋する干であり、正官・偏官の両方を指す言葉ですが、財や印などと同様、陰陽の違いによって正と偏に区別されます。

偏官は日干を剋する五行で、なおかつ陰陽が同じ干を指すわけですから、日干が甲(陽木)であれば偏官は庚(陽金)。日干が丙(陽火)であれば偏官は壬(陽水)となります。

偏官の意義

正官の記事でも述べましたが、官には大官・ 武官・ 長官・ 教官といった役職や位の意味があります。そこで日干を剋制するということは、勧善懲悪や賞罰の作用が生じるとして、「官」という名称が付されました。

陰陽が交わる正官に対し、偏官は陰陽が同じとなるため、陽と陽、陰と陰の偏った相剋となり、「偏官」と名付けられました。偏官は剋の気勢が強く、激突・対立・圧迫などの意ある猛烈な剋制であることから、正官とはその作用が随分と異なります。

昔から正官が貴いとされてきた反面、この偏官は偏った勢いと猛烈さがあることから、「凶事をもたらすもの」として考えられてきた過去があります。そのことから偏官を「七殺」という恐ろしい呼び名で呼ぶこともあります。

偏官の別名「七殺」

偏官は日干から数えて七番目にあることから「七」、また日干を苦しめる凶暴な干であると考えられていた背景から「殺」として、「七殺」と呼ばれることがあります。あるいは単純に「殺」と呼ばれることもありますが、いずれも生剋名・偏官のことです。

このため今でも偏官を凶星と考える占い師などもいます。しかし、実際は官を喜神とする場合は、正官・偏官ともに吉となるのです。さらに命式の配合によっては、正官よりも偏官を好む場合もありますから、一概に「偏官凶」とするのは誤りと言えるでしょう。また、十干の性質によっても吉凶は変わってくるものです。

偏官の作用と性質

偏官は日干を剋するものですから、日干に剋に耐えるだけの力がないといけません。このためもし普通格局に分類され、なおかつ日干が官大過などで弱となる場合は、官は忌神となります。正官・偏官ともに忌神となり、もし歳運においてさらに官が巡ってくれば、日干(自分自身)はさらに苦しい立場や境遇に置かれることになるでしょう。

概して官が忌神となる場合は、正官よりも偏官を忌みます。これは単純に正官よりも偏官の方が剋の勢いが強いからです。

反対に偏官が喜神となる場合は、日干にそれなりの力量がある時です。日干は十分に強いため官の剋制を恐れず、かえって吉とします。性質としては勇気と覇気があり、自制心や克己心をもちます。

官には「印を生じる」「比劫を剋する」「食傷から剋される」「財から生じられる」といった作用があり、これらの特性から官の喜忌両面の作用があらわれます。以下は偏官の事象を良い面と悪い面に分けて説明したものです。

偏官の良い面偏官の悪い面
職位・地位の向上・出世、法を遵守する、環境運の安定、忍耐力と克己心がある、名誉を得る、責任感が強い、自制心、几帳面、リーダー気質 出世できない、法を犯す、環境の不安定、批判・避難される、刑罰を受ける、災難・事故に遭いやすい、無責任、怠惰、いい加減

などありますが、これも「日干が剋される」という作用とあわせて考えると分かりやすいでしょう。日干は自分自身のエネルギーの核を司るものですから、日干が弱く剋に耐えられない場合は「官」の悪い事象が発揮されるのです。また日干が過剰に剋されることにより、性質としても薄弱・病弱傾向となります。

反対に日干が強く官が喜神となる場合は、上記で述べたような良い作用があり、性質としても自制心があって責任感が強いため、仕事ではそれなりの地位を得る暗示があります。また適度な剋制により胆力があり、粘り強いのも特徴です。

官が大過して忌神となる場合は、病弱となる暗示があります。これは日干が官によって多大に剋されるわけですから想像に難くありません。また、剋には「批判や攻撃」といった意味もあるため、官が大過する場合は周囲から非難や圧迫を受けることになります。

偏官の六神

六神とは「父、母、兄弟、姉妹、配偶者、子女」のことです。四柱推命では、生剋名にそれぞれの六神を当てはめて事象を占います。

偏官が象徴する六神は以下です。男性・女性で多少異なりますので、分けて説明致します。

偏官が象徴する六神
男性 子女、上司、目上の人
女性 配偶者(夫)、上司、目上の人

以上のように男性の場合は官が子供を象徴します。また女性にとって官は夫を象徴します。なお、厳密には正と偏を分けて考えますが、あまり実証的ではないため正・偏は分けません。

日干から見て偏官に当たる干

以下は日干に対して偏官に当たる干を表にしたものです。偏官は「日干を剋する五行であり、なおかつ陰陽が同じ」でした。生剋名を覚えるのが難しいと感じる方は、まずは五行だけで「日干を剋す干が官」という風に覚えると良いでしょう。

日干偏官に当たる干

※この中でも特に「甲・庚」「乙・辛」「丙・壬」「丁・癸」の剋は「沖」ともいい、一段と激しい剋となります。

偏官が喜神・忌神となる格局と判断

以下に、偏官が喜神となる場合と、偏官が忌神になる場合の格局と判断について記しておきます。これは正官と同じです。

偏官が喜神になる格局と判断

  1. 命式が「普通格局」に分類され、なおかつ身強となる場合
  2. 命式が「陽刃格」「建禄格」「月劫格」に分類され、なおかつ身強となる場合
  3. 命式が「従児格」「従財格」「従殺格」「従勢格」に分類される場合

偏官が忌神になる格局と判断

  1. 命式が「普通格局」に分類され、なおかつ身弱となる場合
  2. 命式が「陽刃格」「建禄格」「月劫格」に分類され、なおかつ身弱となる場合
  3. 命式が「従旺格」「一行得気格」「化格」に分類される場合
※例外もありますので参考程度に御覧ください。