四柱推命旺

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『不幸の総合商社』と呼ばれる~命式解命と事象の観察・ご依頼者様の命式より

今回はご依頼者様の命式を元に、著しい凶暗示と事象の解説を行いたいと思います。本日ご紹介する命造は、最近虎の舞の命名サービスをご依頼いただいた方のものですが、極めて五行の偏りの強い命造であり、とても珍しいためご依頼者様に了解を得てこの記事を書くことに致しました。

当サイトでも何度か『先天運における最も強い凶暗示とは、最も強い五行の偏り(普通格局)』であると解説してきましたが、今回ご紹介する命式はまさに忌神のみで構成された命造となっており、大変珍しいものです。

そのような命造は著書などでは拝見したことがあるものの、実際にはあまり目にすることは無く、私自身も少し驚いた次第であります。また、ご依頼時にお知らせいただいた事象についても、ご本人いわく『自他共に認める不幸の総合商社』と言うだけあって、凄まじい凶暗示が出ておりました。

なお凶暗示は先天運由来の暗示のみではなく、姓名も連動するように凶暗示を表しておりましたので、姓名構造についても皆様の参考となるよう、最後にご紹介したいと思います。

Aさんの命造紹介

それでは当人の命造を以下に示します。お名前は仮にAさんとしておきますが、性別は女性の方です。

生年月日はプライバシーに関わる恐れがありますので、命造のみ示します。

天干
地支未(火旺)

命造は、すべての干支が土性によって構成される大変偏った土多の命造です。土性支が全て揃って四墓を形成するわけではありませんが、地支は未と辰の組み合わせのため去ることもなく、大変強固な土です。

また、最も重要なポイントは未・火旺の生まれであることです。なぜなら、もし土旺の生まれの場合は従旺格(真)となるため、喜神は火・土・金・水となって、むしろ命造は喜神ばかりで構成される、つまり現在より喜の傾向があらわれるためです(とはいえ、比劫大過ですし、調候不良のため吉命とはなりません)。

しかし月支は7月前半、火旺の生まれであるため、印の火が月令を得ることになり、これによって普通格局の日干極強という強さで、著しい忌神ばかりの命造となったのです。すなわち、冒頭でも述べた『先天運における最も強い凶暗示とは、最も強い五行の偏り(普通格局)』そのものの命造なのです。

また調候の存在がないことも、命造の位相を著しく下げています。辰は本来湿土ですが、火旺の未が二支存在することによって水が干上がり、イメージとしては砂漠や荒野のような乾いた土となっていることが非常に問題です。もちろん草木一本生えることができない状態です。

このような調候不良の乾ききった土の場合は、金(喜神)を生じることができず、木(喜神)はすぐに折れてしまいますし、水(喜神)もすぐに吸収してしまうため、ちょっとくらいの喜神が巡ったくらいでは喜を発揮できません。

その証拠に、現在のAさんの大運には喜神【乙卯】木旺運が巡っていますが、事態は全く喜ではないようです。

約4
約8.5
約40以上
0
約1.3

問題となっている五行の力量は以上のようになっており、土が明らかに大過していることが分かります。以前『忌神の力量が40を超えると生命に危険がある』と解説しましたが、原局で既に忌神の土が40を超えているため、生きているだけで人生において様々な災難や病気があるはずです。

Aさんの命造解命結果と忌象

既に喜忌は明らかですが、以下に基本解命結果を示します。

  • 日干:戊土
  • 日干強弱:身強(極強)
  • 格局:印綬格
  • 用神:庚金
  • 喜神:金・水・木
  • 忌神:火・土
  • 閑神:木(火が巡る運では忌神となる)
  • 調候:壬水

まず、用神は食傷(金)であるということ。これは従来の【極まったものは洩らすが宜しい】という原理に基づくものですが、やはり木は木折・火生の恐れあることから用神とは取れませんし、火の運にいる場合は忌神にすらなり得ます。

また水は調候でもあるため必要不可欠ですが、土多ですのですぐに剋されてしまいます。したがって用神は金以外はあり得ない命造です。

しかし、命式には用神はおろか喜神さえ一つもありません。わずかに地支蔵干に水・木をもちますが、火旺の土多ですので水は完全に干上がっていますし、木の根も全く枯れてしまっているという著しい凶構造なのです。

それでいて、土の気を洩らす金が皆無ということですから、 これはどうしても生命力が弱く、病弱多難となる暗示大という命造なのです。

また六親では、母親(火)の気は火旺ですのでそれなりにありますが、父親(水)の気は全く枯れています(通常は縁が薄い暗示となります)。四柱構造全て忌ですので、配偶者宮・両親の定位も全て忌神となり、当然家庭運・結婚運ともに不遇の暗示となります。

しかし、実際の事象はどうでしょうか?以下に、Aさんからお知らせいただいた事象を以下に示しますが、生剋名でどの忌象に当たるかを考えながらお読みいただくと良いでしょう。

  • 幼少の頃からいじめ・家庭では虐待を受ける(官・食傷の忌象)
  • 生死をさまよう事故に遭遇(食傷の忌象)
  • 医者に手術を失敗されたり、死ねと恫喝される(信じがたいことですが事実のようです。食傷の忌象)
  • 数百万円のお金を騙し取られる(財の忌象)
  • 職場でいじめに遭う(官の忌象)
  • 元彼からのリベンジポルノ(財の忌象)
  • 知人から濡れ衣を着せられたあげく、ペットを殺害される(財・食傷の忌象)
  • 精神障害を患う(印の忌象)
  • 夫からの暴力(官の忌象)

以上、Aさんからお知らせいただいた事象を簡単にまとめました。虎の舞の命名サービスには沢山の不幸な境遇の方々が来られるのですが、その中でも波乱の度合いが頭一つ抜けているようです。

()内は代表的な生剋名を書きましたが、すべて一つの生剋名に収まるわけではありません。命造は一言で言い表すと【比劫大過】ですので、この強烈な比劫(忌神)大過がもたらす生剋名的事象を以下に示したいと思います。

  • 比劫大過:食傷の不及->食傷忌象発生(事故・災難・生活困苦)
  • 比劫大過:財の不及->財の忌象発生(財難・貧乏・お金を騙される等)
  • 比劫大過:官の不及->官の忌象発生(社会的地位なし・いじめ・排斥される・夫との関係悪化等)
  • 比劫大過:印の忌神化->印の運気に入ると印の忌象発生(深刻な悩み・精神障害等)
  • 比劫大過:比劫の忌神化->比劫大過の忌象(排斥される・両親家族との関係悪化・人間関係対立・友達に騙される・誹謗中傷を受ける等)

比劫が突出して強いため、五行のバランスも極めて悪くなり、その結果あらゆる(生剋名の)忌象を発生することになり上記のような事象があらわれましたが、特に比劫大過で問題となるのは比劫が剋する財の忌象です。財の忌象というとお金の関係だけだと思う人もいるかもしれませんが、お金だけではありません。

以下に財不及の主たる忌象を示します。

  • 闘争対立
  • 破財・貧乏・金銭浪費
  • 恋愛結婚に波乱(色恋沙汰)
  • 父親との関係悪化・対立

凶作用を強める姓名構造

Aさんはこのように非常に波乱の運命を生きたきたわけですが、実は『名前の画数自体は、良い名前だと何度か言われましたが到底そうは思えません。』ということで虎の舞を訪れたのです。

そこでAさんの姓名構造(出生名)をうかがうと、それは以下のようなものでした。

  • 天格:8:陰金
  • 天格:16:陰土
  • 天格:16:陰土
  • 天格:8:陰金
  • 天格:24:陰火

たしかに完璧な吉数揃いの姓名です。しかも、三才は【金・土・土】相生の配置であり、名前の画数自体は良いと言われたというのも頷けます。ところが、事実はそんな吉暗示とは全くの逆。

さて、ここまでお読みいただいた方なら即座に理解し得ると思いますが、問題となっているのは忌神である土・火が五格において優勢となっている点です。用神の金も二格にありますが、土二格、火一格では全く喜を得ません。もちろん先天運における五行バランスが良い方であればこれは吉名となるのですが、Aさんの場合は極端に五行バランスが悪いため、忌神優勢となれば先天的凶作用を強める働きとなってしまうのです。

ちなみに姓名の五行エネルギーは一格につき5として計算し(通常は相生相剋情報も加えます)ますので、以上の姓名構造では土の力量が+10になり、総合して50という力量になりました。そして結婚後はさらに悪く、

  • 天格:22:陰木
  • 天格:22:陰木
  • 天格:16:陰土
  • 天格:16:陰土
  • 天格:38:陰金

上記のような姓名構造となったことにより、引き続き波乱の境遇となり、実情は生きていることがやっとという状態になっているようです。また健康状態についても、難病手帳をもっているということですが、このような命造における危険な状態が運命にそのまま映し出されているようです。

ちなみに病気は、土多の場合、最も不及となる水の部位に難があらわれる可能性が高いですが、すべての五行がアンバランスとなるためどこに不調が出てもおかしくないのです。

このためAさんのように、命造が極端に偏っている場合は、特に厳重な五格選定が必要となります。