『女性にとって夫（パートナー）との縁が薄い先天運とはどのようなものでしょうか？』に回答

今回は『女性にとって夫（パートナー）との縁が薄い先天運とはどのようなものでしょうか？』という質問にご回答致します。上記は巷（ネット）でも度々話題となるものですが、間違った情報を含め様々な情報が言われており、ここでその見方と原則をお話ししたいと思います。

今回は女性の結婚波乱運・離別（死別）運について原則的な見方を解説致しますが、まず前提として、先天運位相（全体運）や姓名もこれに少なからず関わってくることはご理解をお願い致します。

比劫忌神・大過～先天運における寡婦運

生剋名において夫は『官』。このため原則的には官の喜忌や有り様・力量を見るのが真っ先です。日支は配偶者をあらわしますが、日干と日支の関係だけで夫との縁の厚薄を見ることはできませんのでご注意ください（日干と日支の関係は、夫との関係性を見るのに有効です）。

それでは、どのような状態が最も夫（パートナー）との縁が薄い先天運となるのでしょうか？それは概して以下の2パターンです。

寡婦運タイプ1

• 比劫が忌神であり（普通格局）、なおかつ大過する場合
• 日干の力量と、官の力量の差が大きければ大きいほど凶（この場合、日干が強すぎ、官が弱い状態となる）
• 数値にして0～10程度であれば適切。20以上の開きがあると不和・離婚・死別となることあり

寡婦運タイプ2

• 官が忌神であり（普通格局）、なおかつ大過する場合
• 日干の力量と、官の力量の差が大きければ大きいほど凶（この場合、日干が弱すぎ、官が強い状態となる）
• 数値にして0～10程度であれば適切。20以上の開きがあると不和・離婚・死別となることあり

※原則的には上記の2タイプですが、寡婦的運勢は比較的タイプ1がよく見られます。

昔から四柱推命では、女性における寡婦運は食傷に起因すると言われて来ました。これは、食傷が夫をあらわす官を剋す関係にあるためです。

しかし私の経験によると、最も夫との縁が薄くなりやすい先天運としては特に『比劫忌神・大過（タイプ1）』が挙げられます。もちろん食傷が強すぎて夫と不仲（夫を剋す）という人もいるのですが、なぜか夫との縁が薄いタイプは、圧倒的に比劫大過の命式に見られます。なぜでしょうか？

これは財運の厚薄を見る場合と同じで、やはり生剋名における喜忌（吉凶）は、日干との力量差で見るべき（見た方が分かりやすい）という原則的な考えに基づきます（旧来からの四柱推命における原則ではなく、私が確率した手法における原則です）。

改名の相談に来られる女性の中にも、食傷は全くないが、比劫と印が突出して強く、それに対して官の力量が大変弱いという方がいます。そのような方の場合、往々にしてパートナーとの縁が薄く、夫と死別されたという方もいます。

ちなみに比劫が強くなると、それにつれて食傷も強くなる傾向があることは重要な点です（食傷が存在する場合）。なぜなら比劫は食傷を生じるためです。そして強い食傷が弱い官（夫）を剋すという状態が、比劫大過の人には起こりやすいのです。

上の理論に基づけば、食傷大過が剋夫となるという説も間違いではないということになります。しかしこの点も、単純に日干と官の力量を見定めれば良いのです。

なお上記に対する証拠は、次に紹介する実際の命造を見ると自ずと明確になります。

夫と死別した吉田美和さんの命造

まずは、前夫の末田健さんと2007年に死別したとされているドリカムのボーカル、吉田美和さんの命造から見ていきましょう。

典型的な比劫強の命造です。辰は土旺のため特別格局ではなく普通格局となります。天干の庚・乙は辰のため干合しませんが（合去です）、大運・流年運によって解合すると当然庚・乙は原局に戻ります。三柱から身強とわかる命造です。

したがって吉田さんの喜神は水・木・火（閑神）、忌神は金・土となります。

そしてなんと、吉田さんが死別された時期の大運は【乙酉（金旺）】でした。天干の乙は庚・乙の干合を解き、この時単純計算で比劫（金）の力量は27程度。官の力量がわずか3程度のため、その力量差がやはり20以上あります。

ちなみに三柱において有力な食傷無し、大運にも食傷無しとなっていることから、食傷が問題となっていたわけではないことも分かります。ただし、死別された2007年は【丁亥】であり、食傷の水が巡っていました（この時、食傷が有力とならない限りは、食傷剋官は認められません）。

吉田さんの命造は、先天運における寡婦運の典型的な例と言えます。ちなみに吉田さんは姓名にも寡婦運数をもちます。

パートナーと死別、上原多香子さんの命造

上原多香子さんは、2012年にET-KINGのMC・TENNさんと結婚しましたが、2014年9月に夫が自殺するという不幸にあっています。

まずは上原さんの命造を見ておきましょう。1983年1月14日です。

日干は壬水、月支は丑・水旺です。月令や力量をきちんと計算しない四柱推命家の場合身弱と判断してしまう可能性もありますが、以下、力量を出してみると比劫（水）大過明瞭です。

• 木：約5.3
• 火：約0.7
• 土：約2.7
• 金：約4.0
• 水：約21.7

上記は原局のママですが、明らかに比劫が強く、身強となります。そして上原さんが死別を経験した時の大運はなんと【庚戌】でした。戌は本気・戊（官）ですが、酉直前の戌であり、旺令は金であることが重要です。

したがってこの時の官（土）の力量はわずか2程度であり、これを原局に足しても4.7程度と弱いのです。そして比劫の力量はというと、金に生じられるため25程度はあり、その力量差は20以上となります（もちろん時柱によって力量は多少変化します）。

ちなみにTENNさんが死亡した2014年は上原さんにとって財の【甲午】でしたが、9月は申・酉の金旺に当たる点に注目です。また上原さんの場合は、食傷の木が多少の力量をもっているため、食傷剋官の情勢も若干見られます。

上記を結論すると、比劫大過・官弱が悪いことは明瞭だが、これに食傷剋官が加わわると、さらに官にとっては悪い事態になるということが言えるかと思います。

またTENNさんとの結婚時の姓名は『森脇多香子』で、金が二格に入っています（官の土なし）。

女優、須藤理彩さんの命造～姓名も加担する例

女優である須藤理彩さんも夫との死別を経験している一人です。ウィキペディアには、『2016年10月9日、夫の川島道行が脳腫瘍で死去』とあります。まずは須藤さんの命造を見てみましょう。

須藤さんの命造はこれまでの方々とは違い、三柱では身弱のようです。時柱が不明のため特定できませんが、土旺生まれのためこの状態では食傷の土が最も強く、20程度の力量があります。対して、日干の力量は5程度になります。また、官（水）の力量はわずか0.5程度。

では、やはり食傷が官を剋す命造というのも、寡婦運の原因となるのではないか！と思われるかもしれませんが、須藤さんの大運を見るとこれが覆ります。

須藤さんの夫が死亡したのは、2016年10月9日でした。この時、須藤さんの大運は【辛卯】木旺でした。時柱が不明のため絶対とは言えませんが、卯は月支の未と木局半合を形成します。すると、印の力量が20を超えるため、転じて身強となる可能性のある大運なのです。

さらに驚くべきことは、須藤さんの姓名構造です（姓名が運勢に影響を及ぼすことは常日頃解説しています）。なんと五格には、比劫の火ばかり。

須藤理彩

天格・33数・陽火
人格・33数・陽火
地格・23数・陽火
外格・23数・陽火
総格・56・陰土

これを先天運に加えると、姓名の火（比劫）の力量は約20となるため、比劫の力量は合計で25程度となり、日干は転じて身強となるのです。さらにそこに大運の卯が巡り、比劫大過・官弱となったことが明瞭です。このように、正確にその人の運命を見通すためには、姓名構造を見ることも不可欠となります。

上記をまとめると、やはり比劫の大過が先んじており、そこに食傷が作用することにより、さらに官が弱まって、夫（官）が死亡する（あるいは離別・離婚する）という流れが見られます。

皆さんも、是非身の回りの方の境遇と先天運を見比べ、その理解を深めていただくことをおすすめ致します。

食傷剋官があまり当たらない理由

ある女性の先天運において、食傷が官を剋すから、その人は夫との縁が薄いのだという論理は、相剋関係だけが官を弱める作用があるのだ、と言いたげな印象があります。

しかし実際は、食傷だけではなく、印・比劫によっても食傷は弱められるのです。たとえば日干が土の場合、官は木ですが、土ばかりの命式の場合、木はうまく成長していくことができず、朽ちていくことになります。つまりこれは逆説的に言えば、土が木を剋しているとも言えるのです。

また日干が土の場合、印は火ですが、火が強すぎる場合も、木は燃え尽きてしまいます。このように、別に食傷だけが官を弱めるわけではないのです。このことから、単純に命造における五行の関係性を読み、その上で日干と官（あるいはそれ以外の生剋名）の力量の差を読むことが重要となるのです。