四柱推命旺

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従格における真と仮の違い~真の従格が波乱大となるのはなぜか?

従格における真と仮では、実は真の従格の方が人生における波乱が大となる傾向があります。これは一般的な傾向性ですので個々の事例すべてに当てはまるわけではありませんが、真の従格では以下の理由から、特に破格時における運勢の低下が著しくなるためです。

  • 従格における破格期においては、喜神と忌神が概ね逆転する。この時真の従格では、仮の従格と比べて忌神が著しく大過する傾向にあるため
  • なぜなら、従格は四柱の干支ほぼすべてが従神(用神・喜神)によって構成されるため、破格期にはこれらが全てが忌神となるためである
  • そして破格によって命式が普通格局となると、今度は五行バランスが重要となるが、特に真の従格の場合は忌神に五行バランスが強く偏るため、破格期における波乱の度合いが著しくなる傾向がある

以上の理由から、同じ従格であっても、一般的には仮よりも真の方が波乱の傾向性大となるのです。

なお、破格期における波乱の具体的な内容については、従格の種類によります。例えば比劫や印が極めて強い従旺格であれば、破格期には大過する比劫が忌神となるため、概して財の忌象があらわれやすく、主には失職・財を失う・離婚・離散・社会的地位を失う等となります。

次は、具体的に五行の力量数値を測り、これによって波乱の度合いを見てみましょう。

真の従旺格と仮の従旺格、それぞれの原局における五行の力量

以下は、真の従旺格と仮の従旺格の一例です。これらそれぞれにおける五行の力量を導きだし、その様相を見てみることにしましょう。

仮の従旺格

天干
地支

こちらは仮の従旺格です。日干・丙火にして、月支・巳のため日干月令を得ます。年干に癸水があり、これが丁火を剋すため従旺格の成立条件に反しますが、剋去ですので仮の従旺格となります。五行の力量バランスは以下です。

五行力量
約7.0
約30
約3.0
約1.0
約0

以上のようになります。比劫の火は30と突出して強いですが、丁・癸の剋去があるためその分若干火のエネルギーが弱くなります。

真の従旺格

天干
地支

そして以上は真の従旺格です。日干・丙火にして、月支・巳のため日干月令を得ます。こちらは官の水が一点もありませんので真です。日支が戌土となりますが、午・戌火局を形成します。その結果、五行の力量は以下となります。

五行力量
約3.0
約35
約5.0
約0.5
約0

このように、真の従旺格のほうが比劫である火のエネルギーが強くなりました。ただし、こちらの命式では甲・己が合去しますので、その分木のエネルギーは小さくなっています。

真の従旺格と仮の従旺格、それぞれの破格期における五行の力量

次は、それぞれの破格期における五行の力量を見てみましょう。破格といっても、その時の干支によって合・冲関係が変化しますので、以下は一例としてお考えください。

仮の従旺格・破格期の五行力量

天干
地支

上記の仮の従旺格では、地支に官の本気が巡ると命式が破格となります。たとえば、大運に【壬子】が巡った場合の五行の力量は以下となります。

五行力量
約7.0
約25
約3.0
約1.0
約10

仮の従旺格のほうでは、壬子が巡った場合、地支の午が子と冲を起こすため去ります。また天干の丁・癸が解剋しますので、この分水の力量がある程度強い状態となっていることがお分かりいただけるでしょう。

すなわち、破格期における波乱の度合いは『特定の五行に偏れば偏るほど大きくなる』わけですので、仮の従旺格の場合は水が火を剋している分、火のエネルギーが適度に抑えられるため、極端には五行バランスが崩れません。

上記の表を見ますと、たしかに比劫は25以上となりますので比劫大過による忌象(食傷・財の不及による忌象など)は多少出ますが、官の水が活きているためそれほど極端に悪い事象は起きない、ということが分かります。

天干
地支

しかし、こちら真の従旺格のほうではどうでしょうか?同じく【壬子】が大運に巡った場合を見てみましょう。

五行力量
約3.0
約33.3
約7.7
約1.0
約15

真の従旺格では、午火が二支あるため、子が巡っても戌・午の合が解けるのみとなります。このため、火は依然として極めて強く、33程度あります。水は旺のため15程度の力量を有するものの、戌土に剋されるため、実際は10程度となるでしょう。

つまり、これら二つの命式では、真の従旺格のほうが明らかに比劫の火が強い状態であり、五行のバランスが悪いことが見て取れます。そしてこのような悪い五行バランスがそのまま運勢に影響することを考えると、当然こちらのほうが比劫大過による忌象が強くあらわれるというわけなのです。

具体的には、比劫が大過して財の金不及となりますので、生活は著しく困窮する傾向となります。健康においても、大過する火の病、もしくは不及となる金の部位に問題が出てくるでしょう。ただし【壬子】の運においては調候の水が活きていることが救いとなっており、絶体絶命とはなりません。

以上で解説したように、一般的には、真の従旺格のほうが大きな波乱運となりやすいのです。真の従旺格というとなんだか大変吉相のような気もしないではないですが、事実は全く逆となります。ただし、これも個々の命式によって異なることは当然のことです。

真の従旺格でも、位相の高い命式はある

一般的に、従旺格は位相(命式における位であり、位相が高いほど強運の人となる)が低くなる傾向がありますが、稀に五行バランスの良い吉命もありますので、紹介しておきましょう。

以下は、石橋貴明さんの命式です(時柱はネットから情報を得たものですので、絶対正確とは言い切れません)。

天干
地支戌(土旺)

日干・戊土の戌月・土旺の生まれのため日干が月令を得ています。これに加え、印と比劫が重々とあること、加えて官の木が皆無であることから、従旺格(真)が成立しています。

しかし石橋さんの命式は真の従旺格でありながら、食傷の金が天干・地支にも埋蔵されて活きており、なおかつ財の子水もあるという大変五行バランスの良い命式なのです。

もちろん従旺格なので比劫の土は突出して強いものの、数値にして25程度ですし、土気を洩らす金が通根しているため比劫大過による憂いがほとんどないのが素晴らしい点です。さらには、食傷の気を活かす水が地支にあるため、土->金->水という気の流れができており、これによって大変財運の強い吉命となっています。

そしてこのように五行バランスが良い従旺格の場合は、命式が破格となっても当然五行バランスはそれほど悪くなりませんので、破格を忌むことがない、つまり永く福運を享受する命運ということができるのです。

というわけで、従旺格でも一律に波乱の命というわけではなく、命式の様相によっては石橋さんのように位相の高い命式もありますので、よくよく命式を精査していただければと思います。